橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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平成28年(2016年) 電験三種 理論 問17

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そちらも見て下さい。


 

 


 図のように、十分大きい平らな金属板で覆われた床と平板電極とで作られる空気コンデンサが二つ並列接続されている。二つの電極は床と平行であり、それらの面積は左側が$A_1=10^{-3} m^2$,右側が$A_2=10^{-2} m^2$である。床と各電極の間隔は左側が$d=10^{-3}$で固定、右側が$x[m]$で可変、直流電源電圧は$V_0=1000V$である。次の(a)及び(b)の問いに答えよ。
 ただし、空気の誘電率を$\epsilon =8.85 \times 10^{-12} F/m$とし、静電容量を考える際にコンデンサの端効果は無視できるものとする。

 

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(a)まず、右側の$x[m]$を$d[m]$と設定し、スイッチSをいったん閉じてから開いた。このとき、二枚の電極に蓄えられる合計電荷$Q$の値$[C]$として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)$8.0 \times 10^{-9}$
(2)$1.6 \times 10^{-8}$
(3)$9.7 \times 10^{-8}$
(4)$1.9 \times 10^{-7}$
(5)$1.6 \times 10^{-6}$


(b) 上記(a)の操作の後、徐々に$x$を増していったところ、$x=3.0 \times 10^{-3} m$のときに左側の電極と床との間に火花放電が生じた。左側のコンデンサの空隙の絶縁破壊電圧Vの値[V]として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)$3.3 \times 10^{2}$
(2)$2.5 \times 10^{3}$
(3)$3.0 \times 10^{3}$
(4)$5.1 \times 10^{3}$
(5)$3.0 \times 10^{4}$

 


 

解答 (a):(3),(b):(2)  

 

(a)
平行平板コンデンサの容量は$C=\epsilon \dfrac{S}{L}$で計算できるので、
それぞれのコンデンサの容量は
$C_1=\epsilon \dfrac{A_1}{d}=8.85 \times 10^{-12} \times \dfrac{10^{-3}}{10^{-3}}=8.85 \times 10^{-12} F$

$C_2=\epsilon \dfrac{A_1}{d}=8.85 \times 10^{-12} \times \dfrac{10^{-2}}{10^{-3}}=8.85 \times 10^{-11} F$

並列なので合成容量は
$C=C_1+C_2=9.735 \times 10^{-11} F$
$Q=CV=9.735 \times 10^{-11} \times 1000=9.735 \times 10^{-8} C$

解答 (3)

(b)
$C_2=\epsilon \dfrac{A_1}{d}=8.85 \times 10^{-12} \times \dfrac{10^{-2}} {3 \times 10^{-3}}=2.95 \times 10^{-11} F$

$C=C_1+C_2=3.835 \times 10^{-11} F$

このとき、電荷Q[C]の値に変化はなく、絶縁破壊を起こしたので電圧は

$V=\dfrac{Q}{C}=\dfrac{9.735 \times 10^{-8}}{ 3.835 \times 10^{-11}}=2.538 \times 10^{3} V$

解答 (2)