橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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令和4年(2022年) 上期 電験三種 理論 問1

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今年度から電験三種は上期と下期の2回実施されます。

問1は、コンデンサの問題です。

 


 面積がともに$S$[$m^2$]で円形の二枚の電極板(導体平板)を,互いの中心が一致するように間隔$d $[$ m $]で平行に向かい合わせて置いた平行板コンデンサがある。電極板間は誘電率$%epsilon $[$ F/m $]の誘電体で一様に満たされ,電極板間の電位差は電圧$V $[$V $]の直流電源によって一定に保たれている。この平行板コンデンサに関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし,コンデンサの端効果は無視できるものとする。

(1)誘電体内の等電位面は,電極板と誘電体の境界面に対して平行である。

(2)コンデンサに蓄えられる電荷量は,誘電率が大きいほど大きくなる。

(3)誘電体内の電界の大きさは,誘電率が大きいほど小さくなる。

(4)誘電体内の電束密度の大きさは,電極板の単位面積当たりの電荷量の大きさに等しい。

(5)静電エネルギーは誘電体内に蓄えられ,電極板の面積を大きくすると静電エネルギーは増大する。

 


解答 (3)  

 

「誤っているもの」に注意しましょう。

(3)誘電体内の電界の大きさは,誘電率が大きいほど小さくなる。
                                                ・・・・・誤っている。

電界の強さ(電界の大きさ)$E$は$E=\dfrac{V}{d}[V/m]$から、$V$と$d$によって決まるので、誘電率とは関係が無い。
2つの点電荷間の電界の強さ$E=\dfrac{1}{4 \pi \epsilon_0 \epsilon_r} \dfrac{Q}{r^2}[V/m]$を考えると間違えてしまうので、注意してください。



(1)誘電体内の等電位面は,電極板と誘電体の境界面に対して平行である。
                                                    ・・・・・正しい。

 電気力線は、+から-の極板に垂直に向かって進みます。また、電界の強さ(電界の大きさ)$E$は$E=\dfrac{V}{d}[V/m]$となり、どの場所でも等しくなります。よって、等電位面$V=Ed$から、極板に平行となります。

 

(2)コンデンサに蓄えられる電荷量は,誘電率が大きいほど大きくなる。
                                                    ・・・・・正しい。
コンデンサの静電容量は$C=\epsilon_0 \epsilon_r \dfrac{S}{d}$となり、比誘電率$ \epsilon_r $が大きくなると、静電容量大きくなります。また、$Q=CV$より、$C$が大きくなると、コンデンサに蓄えられる電荷量は大きくなります。

(4)誘電体内の電束密度の大きさは,電極板の単位面積当たりの電荷量の大きさに等しい。
                                                    ・・・・・正しい。

$Q=CV$、電束密度$D=\epsilon_0 \epsilon_r E$、$C=\epsilon_0 \epsilon_r \dfrac{S}{d}$、$E=\dfrac{V}{d}[V/m]$より、$D=\epsilon_0 \epsilon_r \dfrac{V}{d} =\dfrac{\epsilon_0 \epsilon_r  C V}{\epsilon_0 \epsilon_r  S}=\dfrac{Q}{S}$となり、単位面積当たりの電荷量の大きさに等しくなります。