橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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平成29年(2017年) 電験三種 理論 問2

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  問2

 

 極板の面積$S[m^2]$,極板間の距離$d[m]$の平行板コンデンサ$A$,極板の面積$2S [m^2]$,極板間の距離$d[m]$の平行板コンデンサ$B$及び極板の面積$S[m^2]$,極板間の距離$2d [m]$の平行板コンデンサ$C$がある。各コンデンサは,極板間の電界の強さが同じ値となるようにそれぞれ直流電源で充電されている。各コンデンサをそれぞれの直流電源から切り離した後,全コンデンサを同じ極性で並列に接続し,十分時間が経ったとき,各コンデンサに蓄えられる静電エネルギーの総和の値$[J]$は,並列に接続する前の総和の値 $[J]$の何倍になるか。その倍率として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし,各コンデンサの極板間の誘電率は同一であり,端効果は無視できるも
のとする。

 

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(1)0.77  (2)0.91  (3)1.00  (4)1.09  (5)1.31

  


 

答え (2)

 極板間の電界の強さが同じ値となるようにそれぞれ直流電源で充電されているので

電界の強さ$E$とすると,$V=Ed$
$V_A=Ed$
$V_B=Ed$
$V_C=2 Ed$

並列に接続する前の静電エネルギーの総和の値は
コンデンサ$A$の静電容量を$C$とすると,
コンデンサ$B$の静電容量を$2C$
コンデンサ$C$の静電容量を$\dfrac{1}{2}C$より

 $W_1=\dfrac{1}{2}C (Ed)^2+\dfrac{1}{2} \times 2 C (Ed)^2+\dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{2}C (Ed)^2$

 $=\left( \dfrac{1}{2}+1+1 \right) C (Ed)^2$

 $= \dfrac{5}{2} C (Ed)^2$

 

また,電荷量$Q$は

 $Q=C Ed+2 C Ed+\dfrac{1}{2}C \times 2 Ed$

$=4CEd$

並列に接続しても電荷量は変わらない。(電荷量保存則)
並列に接続した場合の,全静電容量(合成静電容量)は

$C+2 C +\dfrac{1}{2} C=\dfrac{7}{2} C$

となるので,

$W_2=\dfrac{1}{2}C V^2=\dfrac{Q^2}{2C}=\dfrac{4C(Ed)^2}{7C}=\dfrac{16}{7}C (Ed)^2$

よって、

$\dfrac{W_2}{W_1}=\dfrac{\dfrac{16}{7}C (Ed)^2}{ \dfrac{5}{2} C (Ed)^2}=\dfrac{32}{35} \fallingdotseq 0.91$

 

ここでのポイントは

・$V=Ed$

・$Q=CV$

・$W=\dfrac{1}{2}C V^2=\dfrac{Q^2}{2C}$

電荷量保存則

コンデンサの容量$C=\epsilon \dfrac{S}{d}$

を知っていれば、解ける問題です。