橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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電験三種の電気数学-19

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そちらも見て下さい。

 

数字の基礎、微分方程式です。

 


 電験三種ではほぼ毎回出題されている、理論では$RL$回路、$RC$回路の過渡現象、機械では制御に関する基本的な内容を勉強しましょう。まずは、微分方程式の基礎です。物体の動きや電気回路での電流や電圧の変化は基本的に過渡現象を伴っています。この過渡現象は、微分方程式を用いて解いていきます。微分方程式はいろいろな解法があるのですが、最も簡単な変数分離形の例題を解きましょう。

 

 RL回路の過渡現象

 図に示すような抵抗$R[\Omega]$,インダクタンス$L[H]$の$RL$直列回路に,時間$t=0$において,直流起電力$E[V]$を加えたとき,流れる電流$i[A]$を求めよ。ただし,$t=0$のとき$i=0$とする。

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 $RL$直列回路では次の微分方程式が成立する。

$L \dfrac{d i}{ d t}+R i =E$

 微分方程式の変数分離の方法によって求めると,

$L \dfrac{d i}{ d t}=E-R i$

$L di=(E-R i)dt$

$\dfrac{1}{E-Ri} di=\dfrac{1}{L} dt$

 この式を整理すると

$\dfrac{1}{i-\dfrac{E}{R}} di=-\dfrac{R}{L} dt$


両辺を積分すると

$\log \begin{vmatrix} i-\dfrac{E}{R} \end{vmatrix}=-\dfrac{R}{L}t+K$

$K$は積分定数

対数を取り去るために両辺を$e^{\triangle}$の形式にすると

$ i-\dfrac{E}{R} =\pm e^{-\dfrac{R}{L}t+K}=\pm e^K e^{-\dfrac{R}{L}t}$

 ここで,$\pm ±e^K=K'$ とすると

$ i-\dfrac{E}{R} =K' e^{-\dfrac{R}{L}t}$

初期値$t=0$のとき$i=0$を適用すると,$e^0=1$ より

$ i=\dfrac{E}{R}  \left(1- e^{-\dfrac{R}{L}t} \right)$
・・・(11.16)よって, ・・・(11.17)
ここで,$R$の両端の電圧$V_R$は

$ V_R=E \left(1- e^{-\dfrac{R}{L}t} \right)$

また,Lの両端の電圧は

$ V_L=E-E \left(1- e^{-\dfrac{R}{L}t} \right)=E e^{-\dfrac{R}{L}t}$
もしくは,電流$I$を微分することによって求まる。

ここで,電流は定常解 $i_p=\dfrac{E}{R}$および過渡解$i_t=-\dfrac{E}{R}  e^{-\dfrac{R}{L}t} $ に分けることができ,

$i=i_p+i_t=\dfrac{E}{R}-\dfrac{E}{R} e^{-\dfrac{R}{L}t} $

定常解+過渡解という形で表される。
また,定常解と微分方程式を解いた過渡解を別々に計算した後に
特殊解=定常解+過渡解
を計算し,その後,初期条件を代入し積分定数を求め,特殊解を求めることができる。
図に電流$I$と$R$,$L$両端の電圧を示す。図では電圧$1V$,抵抗$2 \Omega$,コイルのインダクタンス$2H$とした。

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ここで, $T=\dfrac{L}{R}$は時定数と呼ばれる。

図に電流と時定数の関係を示す。時定数は$t=0$の時の接線と,$E/R$とが交わる点がちょうど時定数$T$の大きさとなる。また,この時定数の時間$t=T$とき電流の大きさは$E/R$の$63.2 \%$となる。
 

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