電験三種 理論 基礎力向上テキスト-59
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RCハイパスフィルタ
RCハイパスフィルタは、RCローパスフィルタのRとCが入れ替わった図5.1.1に示すような簡単な回路となっており、制御工学では典型的な一次進み形の回路となっています。
図5.1.1 RCハイパスフィルタ
電圧の比から計算すると
$V_o=\dfrac{R}{R+\dfrac{1}{j \omega C}}V_i=\dfrac{j \omega C R}{1+j \omega C R}V_i$
よって、周波数伝達関数は次式のようになります。
$G(j \omega)=\dfrac{V_o}{V_i}=\dfrac{j \omega C R}{1+j \omega C R}$ ・・・(5.1)
微分方程式を用いて計算すると、流れる電流を$i$とすると
$V_i=\dfrac{1}{C} \int i dt +V_o$
$V_o=Ri$ ・・・(5.2)
この式を$i$について代入すると
$V_i=\dfrac{1}{RC} \int V_o dt+V_o$
ラプラス変換すると
$V_i(s)=\left( 1+\dfrac{1}{sRC}\right) V_o$
伝達関数は次式のようになります。
$G(s)=\dfrac{V_o(s)}{V_i(s)}=\dfrac{sRC}{1+sRC}$ ・・・(5.3)
周波数伝達関数は
$G(j \omega)=\dfrac{j \omega C R}{1+j \omega C R}$ ・・・(5.4)
これは、式(5.1)と同じ式となります。
ゲインは
$\left| G(j \omega) \right|=\dfrac{ \omega C R}{\sqrt{1+ \omega^2 C^2 R^2}}$ ・・・(5.5)
位相は
$\angle G(j \omega)=\angle \dfrac{j \omega RC(1-j \omega RC)}{1+(\omega RC)^2}=\angle (\omega RC)^2+j \omega RC=\angle \omega RC+j $ ・・・(5.6)
折れ点角周波数(カットオフ角周波数)は、時定数$T$として、
$\omega=\dfrac{1}{T}=\dfrac{1}{RC}$ ・・・(5.7)
この折れ点角周波数のとき、ゲインは
$\left| G(j \omega) \right|=\dfrac{ \dfrac{1}{RC} C R}{\sqrt{1+ \dfrac{1}{R^2 C^2} C^2 R^2}}=\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ ・・・(5.8)
となり、ゲインの大きさは[dB]は
$20 \log \dfrac{1}{\sqrt{2}}\fallingdotseq-3dB$ ・・・(5.9)
ボード線図を描いてみます。
(a)ゲイン曲線
(b)位相曲線
図5.1.2 RCハイパスフィルタのボード線図