橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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令和元年(2019年) 電験三種 法規 問13

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そちらも見て下さい。

 

問13は、接地工事の問題です。

計算問題です。

解いてみましょう。


 図は三相3線式高圧電路に変圧器で結合された変圧器低圧側電路を示したものである。低圧側電路の一端子にはB種接地工事が施されている。この電路の-
相当たりの対地静電容量をCとし接地抵抗を$R_B $とする。
 低圧側電路の線間電圧200V,周波数50Hz,対地静電容量Cは0.1μFとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし,
(ア)変圧器の高圧電路の1線地絡電流は5Aとする。
(イ)高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合は1.3秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。

 

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(a)変圧器に施された,接地抵抗$R_B $の抵抗値について「電気設備技術基準の解釈」で許容されている上限の抵抗値[Ω]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)20  (2)30  (3)40  (4)60  (5)100


(b)接地抵抗$R_B $の抵抗値を10Ωとしたときに,$R_B $に常時流れる電流$I_B $の値[mA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,記載以外のインピーダンスは無視するものとする。

(1)11  (2)19  (3)33  (4)65  (5)192

 

 

 


解答 (a):(4),(b):(1)  

 

電気設備技術基準の解釈より,電気設備技術基準の解釈より,

第17条 B種接地工事

・接地工事を施す変圧器の種類
高圧又は35,000V以下の特別高圧の電路と低圧電路を結合するもので


 当該変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路と低圧側の電路との混触により、低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、自動的に高圧又は特別高圧の電路を遮断する装置を設ける場合の遮断時間

1秒を超え2秒以下 300/Ig

1秒以下 600/Ig
これ以外は 150/Ig

ここで、Igは1線地絡電流[A]

よって,

(ア)変圧器の高圧電路の1線地絡電流は5Aとする。

(イ)高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合は1.3秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。
ので,Ig=5A,遮断時間1.3秒より300/5=60Ω

 

(b)このままでは分かりにくいので図のように、Δ結線からY結線にして考えると2つの線間電圧について考えれば良いことがわかる。ただし、線間電圧は120°位相がずれていることに注意

 

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1つの相だけを考えると次のような回路になる。
RBに並列なコンデンサインピーダンスの大きさ31830ΩはRB=10Ωと比べると大きいので,計算上無視して考える。(電流もほとんど流れない。)

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周波数50Hz,対地静電容量Cは0.1μFなので、
インピーダンスの大きさは31830Ωとなる。
1つの相で流れる電流は
200/(31830+10)×1000=6.28mA
これを、ab間の電流とすると、bc間にも120°位相差の6.28mAの電流が流れる。(電流の向きは逆になる)よって、ベクトルと描くと図のようになり,電流の大きさは11mAとなる。

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