電験三種 理論 基礎力向上テキスト-55
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RCローパスフィルタ
RCローパスフィルタは、図4.1.1に示すような簡単な回路となっており、制御工学では典型的な一次遅れ形の回路となっています。
図4.1.1 RCローパスフィルタ
電圧の比から計算すると
$V_o=\dfrac{\dfrac{1}{j \omega C}}{R+\dfrac{1}{j \omega C}}V_i$
$V_o=\dfrac{1}{1+j \omega C R}V_i$
よって、周波数伝達関数は、
$G(j \omega )=\dfrac{V_o}{V_i}=\dfrac{1}{1+j \omega C R}$ ・・・(4.1)
微分方程式を用いて計算すると、流れる電流をiとすると
$V_i=R i+V_o$ ・・・(4.2)
$V_o=\dfrac{1}{C} \int i dt$ ・・・(4.3)
$i=C \dfrac{d V_o}{dt}$
$i$を式(4.2)に代入とすると
$V_i=RC \dfrac{d V_o}{dt}+V_o$
このままでは計算できないので、ラプラス変換すると
$V_i(s)=RCsV_o(s)+V_o(s) $ ・・・(4.4)
伝達関数G(s)は
$G(s )=\dfrac{V_o(s)}{V_i(s)}=\dfrac{1}{1+s C R}$
となり、一次遅れ系となります。
周波数伝達関数は
$G(j \omega )=\dfrac{1}{1+j \omega C R}$ ・・・(4.5)
これは、式(4.1)と同じ式となります。
ゲインは
$\left | G(j \omega ) \right |=\dfrac{1}{\sqrt{1+ \omega^2 C^2 R^2}}$ ・・・(4.6)
位相は
$\angle G(j \omega )=\angle \dfrac{1}{1+j \omega C R}=\angle \dfrac{1-j \omega C R}{1+ \omega^2 C^2 R^2}=\angle 1-j \omega C R$・・・(4.7)
折れ点角周波数(カットオフ角周波数)は、時定数Tとして、
$\omega=\dfrac{1}{T}=\dfrac{1}{RC}$ ・・・(4.8)
この折れ点角周波数のとき、ゲインは
$\left | G(j \omega ) \right |=\dfrac{1}{\sqrt{1+ \dfrac{1}{C^2 R^2} C^2 R^2}}=\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ ・・・(4.9)
となり、ゲインの大きさは[dB]は
$20 \log \dfrac{1}{\sqrt{2}} \fallingdotseq -3dB$ ・・・(4.10)
ボード線図を描いてみます。
(a)ゲイン曲線
(b)位相曲線
図4.1.2 RCローパスフィルタのボード線図