電験三種 理論 基礎力向上テキスト-52
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演算増幅器-1
オペアンプは電子回路の中でも比較的よく使われる素子で、次のような用途があります。
(1)増幅することができる。
(2)発振する回路として用いることができる。
(3)ローパスフィルタなどのフィルタに用いることができる。
(4)電圧の加算・減算・積分・微分などの演算回路として用いることができる。
(5)バッファ回路(信号源への影響を小さくする)として用いることができる。
電験三種には、反転・非反転増幅回路、バッファ回路などの問題が良く出てきます。
理想的なオペアンプは
・入力インピーダンスが無限大
・出力インピーダンスが0
・電圧増幅度は無限大
・周波数特性も0~無限大
反転増幅回路の計算
反転増幅回路は非反転増幅回路とともに、最も良く出てくる回路の一つです。式も比較的簡単に導出できます。電験三種では演算増幅回路は四角の形状で表されています。
図1.1.1 反転増幅回路
一般的にはオペアンプは図1.1.2の反転増幅回路のように三角形の形をしています。
図1.1.2 反転増幅回路
それでは計算してみましょう。図1.1.3のように電流$i$、電圧$V_{-},V_{+}$とします。
図1.1.3 反転増幅回路
このとき、オペアンプの±の入力電圧$V-,V+$は等しくなります。これを仮想短絡(イマジナリーショート)と呼びます。
$V_{-}=V_{+}$ ・・・(1.1)
また、入力インピーダンスは無限大なので、入力端子-から+へは電流は流れません。このため、$R_1$を流れる電流$i$は全て$R_2$に流れます。電圧降下を考えると次式のように求めることができます。
$V_i=V_{-}+R_1 i $
$V_{-}=V_{o}+R_1 i $ ・・・(1.2)
この式を変形すると
$i=\dfrac{V_i-V_{-}}{R_1}$
$i=\dfrac{V_{-}-V_{o}}{R_2}$ ・・・(1.3)
ここで、$i$は等しいので、
$V_o$について整理すると
$\dfrac{V_i-V_{-}}{R_1}=\dfrac{V_{-}-V_{o}}{R_2}$
$R_2 \dfrac{V_i-V_{-}}{R_1}={V_{-}-V_{o}}$
$V_o=V_{-}-R_2 \dfrac{V_i-V_{-}}{R_1}$
ここで、$V_{+}$は接地されているので、電圧は0Vとなる。よって、式(1.1)より、$V_{-}=V_{+}=0V$を代入すると、次式のようになります。
$V_o=- \dfrac{R_2}{R_1} V_i$ ・・・(1.4)