橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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電験三種 理論 基礎力向上テキスト-52

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演算増幅器-1
 オペアンプは電子回路の中でも比較的よく使われる素子で、次のような用途があります。
(1)増幅することができる。
(2)発振する回路として用いることができる。
(3)ローパスフィルタなどのフィルタに用いることができる。
(4)電圧の加算・減算・積分微分などの演算回路として用いることができる。
(5)バッファ回路(信号源への影響を小さくする)として用いることができる。


電験三種には、反転・非反転増幅回路、バッファ回路などの問題が良く出てきます。

理想的なオペアンプ
・入力インピーダンスが無限大
・出力インピーダンスが0
・電圧増幅度は無限大
・周波数特性も0~無限大

 


反転増幅回路の計算
 反転増幅回路は非反転増幅回路とともに、最も良く出てくる回路の一つです。式も比較的簡単に導出できます。電験三種では演算増幅回路は四角の形状で表されています。
 

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                    図1.1.1  反転増幅回路

 

 一般的にはオペアンプは図1.1.2の反転増幅回路のように三角形の形をしています。
     

f:id:hashi-rei-channel:20211230114542p:plain

                    図1.1.2  反転増幅回路

 

 

それでは計算してみましょう。図1.1.3のように電流$i$、電圧$V_{-},V_{+}$とします。
 

f:id:hashi-rei-channel:20211230114613p:plain

                  図1.1.3 反転増幅回路 

  このとき、オペアンプの±の入力電圧$V-,V+$は等しくなります。これを仮想短絡(イマジナリーショート)と呼びます。
$V_{-}=V_{+}$                ・・・(1.1)

また、入力インピーダンスは無限大なので、入力端子-から+へは電流は流れません。このため、$R_1$を流れる電流$i$は全て$R_2$に流れます。電圧降下を考えると次式のように求めることができます。

$V_i=V_{-}+R_1 i $

$V_{-}=V_{o}+R_1 i $            ・・・(1.2)
この式を変形すると

$i=\dfrac{V_i-V_{-}}{R_1}$

$i=\dfrac{V_{-}-V_{o}}{R_2}$        ・・・(1.3)

ここで、$i$は等しいので、

$V_o$について整理すると

$\dfrac{V_i-V_{-}}{R_1}=\dfrac{V_{-}-V_{o}}{R_2}$

$R_2 \dfrac{V_i-V_{-}}{R_1}={V_{-}-V_{o}}$

$V_o=V_{-}-R_2 \dfrac{V_i-V_{-}}{R_1}$

ここで、$V_{+}$は接地されているので、電圧は0Vとなる。よって、式(1.1)より、$V_{-}=V_{+}=0V$を代入すると、次式のようになります。
 $V_o=- \dfrac{R_2}{R_1} V_i$       ・・・(1.4)