橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

MENU

平成28年(2016年) 電験三種 法規 問12

amazon kindle版で「電験三種」に関する本を出版しました。

そちらも見ていただけるうれしいです。

 
 

 


 

 「電気設備技術基準の解釈」に基づいて,使用電圧6600V,周波数50Hzの電路に接続する高圧ケーブルの交流絶縁耐力試験を実施する。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

 ただし,試験回路は図のとおりとする。高圧ケーブルは3線一括で試験電圧を印加するものとし,各試験機器の損失は無視する。また,被試験体の高圧ケーブルと試験用変圧器の仕様は次のとおりとする。

【高圧ケーブルの仕様】
 ケーブルの種類:6600Vトリプレックス形架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVT)
 公称断面積:$100{\rm mm^2}$,ケーブルのこう長:87m
 1線の対地静電容量:0.45μF/km

【試験用変圧器の仕様】
 定格入力電圧:AC0-120V,定格出力電圧:AC0-12000V
 入力電源周波数:50Hz




(a)この交流絶縁耐力試験に必要な皮相電力(以下,試験容量という。)の値[kV・A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)1.4  (2)3.0  (3)4.0  (4)4.8  (5)7.0


(b)上記(a)の計算の結果,試験容量が使用する試験用変圧器の容量よりも大きいことがわかった。そこで,この試験回路に高圧補償リアクトルを接続し,試験容量を試験用変圧器の容量より小さくすることができた。
 このとき,同リアクトルの接続位置(図中のA~Dのうちの2点間)と,試験用変圧器の容量の値[kV・A]の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし,接続する高圧補償リアクトルの仕様は次のとおりとし,接続する台数は1台とする。また,同リアクトルによる損失は無視し,A-B間に同リアクトルを接続する場合は,図中のA-B間の電線を取り除くものとする。

【高圧補償リアクトルの仕様】
 定格容量:3.5kvar,定格周波数:50Hz,定格電圧:12000V
 電流:292mA(12000V 50Hz印加時)

  高圧補償リアクトル接続位置 試験用変圧器の容量[kV・A]
(1) A-B間 1
(2) A-C間 1
(3) C-D間 2
(4) A-C間 2
(5) A-B間 3

 


解答 (a) : (3) ,(b) : (4)  

(a)
対地静電容量は3線一括で1線の対地静電容量:0.45μF/km,ケーブルのこう長:87mより
 $C=0.45 \times 3 \times 0.087=0.1175 \mu F$

電気設備技術基準の解釈 第1条より
公称電圧が6600Vのとき最高電圧は6900Vとなる。(1.15倍)

また,絶縁性能は 第15条より
 最大使用電圧7000V以下では最大使用電圧の1.5倍の試験電圧とするので,

$6900 \times 1.5=10350 V$

対地充電電流$I$は
$I=\omega C V=2 \times \pi \times 50 \times 0.1175 \times 10^{-6} \times 10350=0.382 A$

よって,変圧器の容量は

$0.382 \times 10350=3954 V \cdot A=3.95 kV \cdot A$

(b)

高圧補償リアクトルの接続はA-C間となる

【高圧補償リアクトルの仕様】
 定格容量:3.5kvar,定格周波数:50Hz,定格電圧:12000V
 電流:292mA(12000V 50Hz印加時)より
電圧は10350Vなので,リアクトルを流れる電流は

$0.292 \times \dfrac{10350}{12000}=0.252 A$

試験用変圧器に流れる電流は
$0.382-0.252=0.130 A$

変圧器の容量は
$0.130 \times 10350=1345 V \cdot A=1.35 kV \cdot A$