電験三種 理論 基礎力向上テキスト-27
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そちらも見て下さい。
第4編 三相交流回路
2. 結線方法
(1)YY結線
図4.2のようにY状に接続した回路をY結線または星形結線(スター結線)と呼びます。
ここで,図4.2ではa相しか示していませんが,b相,c相も同じです。a相の電圧を相電圧,N-a間を流れる電流Iaを相電流,a-a'間を流れる電流を線電流,a'-N間の電流は相電流,a-b間の電圧を線間電圧と呼びます。
ここで,N-N'間(中性線)を接続したとすると,負荷のインピーダンスは同じ(平衡負荷)の場合,電流は次式のように求めることができます。
$I_a=\dfrac{E_a}{Z}$
$I_b=\dfrac{E_b}{Z}$
$I_c=\dfrac{E_c}{Z}$
ここで,$I_a=I$とおくと$E_a=E$、$E_b=\alpha^2 E, E_c=\alpha E$より,
中性線を流れる電流$I_N$は
$I_N=-(I_a+I_b+I_c)=-\left(\dfrac{E_a}{Z}+\dfrac{E_b}{Z}+\dfrac{E_c}{Z} \right)$
$=-\left(\dfrac{E_a}{Z}+\dfrac{\alpha^2 E_a}{Z}+\dfrac{\alpha E_a}{Z} \right)$
$=-\left(1+\alpha^2 +\alpha \right)\dfrac{E_a}{Z}$
$=-(1+\alpha+\alpha^2)I$
$=0$
よって、三相平衡負荷の場合、中性線には電流は流れません。このため,通常接続していませんが,接続したと仮定して計算することができます。キルヒホッフの法則を使うと各相独立に計算できることが分かります。
つまり、三相平衡負荷と三相平衡電源の場合、単相の電源として考えることができます。