橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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令和元年(2019年) 電験三種 機械 問5

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そちらも見て下さい。

 

問5は、誘導電動機に関する問題です。

選択問題です。消去法などを用いて、選択肢を減らしましょう。

解いてみましょう。


  次の文章は,星形結線の円筒形三相同期電動機の入力,出力,トルクに関する記述である。

 この三相同期電動機の1相分の誘導起電力$E$[Ⅴ],電圧$Ⅴ$[Ⅴ],電流$I$[A],$V$と$I$の位相差を$\theta$[rad]としたときの1相分の入力$P_i$[W]は次式で表される。

 $P_i=V I  \cos \theta$

 また,$E$と$V$の位相差を$\delta$[rad]とすると,1相分の出力$P_o$[W]は次式で表される。$E$と$V$の位相差$\delta$は[ (ア) ]といわれる。

 $P_o=E I \cos(\delta-\theta)=\dfrac{VE}{x}$[ (イ) ]

 ここで$x$[Ω]は同期リアクタンスであり,電機子巻線抵抗は無視できるものとする。

 この三相同期電動機の全出力を$P$[W],同期速度を$n_s$[$min^{-1}$]とすると,トルク$T$[N・m]と$P$の関係は次式で表される。

$P=3 P_o=2 \pi \dfrac{n_s}{60} T $

これから,Tは次式のようになる。

$T=\dfrac{60}{2 \pi n_s} \cdot 3 P_o=\dfrac{60}{2 \pi n_s} \cdot \dfrac{VE}{x}$[ (イ) ]

以上のことから,$ 0 \leqq \delta \leqq \dfrac{\pi}{2}$の範囲において$\delta$が[ (ウ) ]なるに従って$T$は[ (エ) ]なり,理論上$\dfrac{\pi}{2}$[rad]のとき[ (オ) ]となる。

 上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)   (イ)   (ウ)   (エ)   (オ) 
(1) 負荷角 $\cos \delta$ 大きく 大きく 最大値
(2) 力率角 $\cos \delta$ 大きく 小さく 最小値
(3) 力率角 $\sin \delta$ 小さく 小さく 最小値
(4) 負荷角 $\sin \delta$ 大きく 大きく 最大値
(5) 負荷角 $\cos \delta$ 小さく 小さく 最大値

 

 


解答 (4)  

 

 この三相同期電動機の1相分の誘導起電力$E$[Ⅴ],電圧$Ⅴ$[Ⅴ],電流$I$[A],$V$と$I$の位相差を$\theta$[rad]としたときの1相分の入力$P_i$[W]は次式で表される。

 $P_i=V I  \cos \theta$

 また,$E$と$V$の位相差を$\delta$[rad]とすると,1相分の出力$P_o$[W]は次式で表される。$E$と$V$の位相差$\delta$は[ 負荷角 ]といわれる。

 $P_o=E I \cos(\delta-\theta)=\dfrac{VE}{x}$[ $\sin \delta$  ]

 ここで$x$[Ω]は同期リアクタンスであり,電機子巻線抵抗は無視できるものとする。

 この三相同期電動機の全出力を$P$[W],同期速度を$n_s$[$min^{-1}$]とすると,トルク$T$[N・m]と$P$の関係は次式で表される。

$P=3 P_o=2 \pi \dfrac{n_s}{60} T $

これから,Tは次式のようになる。

$T=\dfrac{60}{2 \pi n_s} \cdot 3 P_o=\dfrac{60}{2 \pi n_s} \cdot \dfrac{VE}{x}$[ $\sin \delta$  ]

以上のことから,$ 0 \leqq \delta \leqq \dfrac{\pi}{2}$の範囲において$\delta$が[ 大きく ]なるに従って$T$は[ 大きく ]なり,理論上$\dfrac{\pi}{2}$[rad]のとき[ 最大値 ]となる。