橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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電験三種 理論 基礎力向上テキスト-9

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そちらも見て下さい。 

 


 2. 直流回路の法則

 2.2 重ね合わせの理(重ねの理)-2

 重ねの理は電源が2つ以上あるときに,それぞれの電源を1つとしてそれぞれの電流を計算し,電流を重ね合わせると,元の2つ以上の電源のときの電流を求めることができます。
 キルヒホッフに比べ,方程式を解かなくても良いので,簡単です。ただし,電流の向きに気をつけましょう。

  ※電圧源はインピーダンスは0,電流源はインピーダンスは無限大になります。

典型的な例を、過去問で見てみましょう。


 例題 (平成30年度 第三種電気主任技術者 理論 問7)

 

 図のように,直流電圧$E=10V$の定電圧源,直流電流$I=2A$の定電流源,スイッチ$S$,$r=1\Omega$と$R[\Omega]$の抵抗からなる直流回路がある。この回路において,スイッチ$S$を閉じたとき,$R[\Omega]$の抵抗に流れる電流$I_R$の値$[A]$が$S$を閉じる前に比べて2倍に増加した。$R$の値$[\Omega]$として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

f:id:hashi-rei-channel:20200319153518p:plain

(1)2 (2)3 (3)8 (4)10 (5)11


解答(1)

(i)スイッチを閉じる前は$R$には$2A$の電流が流れていた。

(ii)スイッチを閉じると$R$には$4A$の電流が流れた。

スイッチを閉じたときについて考えます。

(ii)-1 電流源だけの場合に$R$に流れる電流$I_{RI}$について

電圧源は無視できるので、

$1\Omega$の抵抗に加わる電圧と、$R$に加わる電圧は等しいので

$1\times (2-I_{RI})=R \times I_{RI}$

これを整理すると

$I_{RI}=\dfrac{2}{R+1}$・・・(1)

 

(ii)-2 電圧源だけの場合、$R$に流れる電流$I_{RV}$について考えると、

電流源はインピーダンス無限大なので、開放していると考えることができるので

$I_{RV}=\dfrac{10}{R+1}$・・・(2)

 

スイッチを閉じると$R$には$4A$の電流が流れたので、(1)、(2)式より

$I_{RI}+I_{RV}=\dfrac{10}{R+1}+\dfrac{2}{R+1}=4$

$12=4(R+1)$

$3=R+1$

$R=2\Omega$