橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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電験三種の電気数学-20

amazon kindle版の「電験三種の電気数学」に関する本を出版しました。

そちらも見て下さい。

 

数字の基礎、ラプラス変換です。

 


 

(1)ラプラス変換

 ラプラス変換は、微分方程式を代数的に求めることができるようにした計算方法で、ラプラス変換表を持ちて、比較的簡単に解を求める方法です。

 

 電験三種の制御工学の問題はほとんどの場合、1次遅れ形となっています。

 時間$t \geqq 0$で定義された関数で、関数$f(t)$に対して$s$を複素数とすると、ラプラス変換は次式のように定義できます。

$F(s)=\int_0^{\infty}f(t) e^{-st}dt$

 ただし、この式は電験三種の範囲では、ほとんど意識せずに使用します。

 また、制御においてはラプラス変換の初期値は0であることが多いので、通常初期条件は無視することができます。


(2)伝達関数

 伝達関数は入力と出力の関係を表す式です。通常,入力信号を$U(s)$,出力信号を$Y(s)$,伝達関数を$G(s)$で表すと,入力信号と出力信号の比で次のように表します。

$G(s)=\dfrac{Y(s)}{U(s)}$

ここで,$s$はラプラス変換で使う変数
この$s$を$j \omega$に置き換えたものを周波数伝達関数と呼びます。

$G(j \omega)=\dfrac{Y(j \omega)}{U(j \omega)}$
図のように,入力$E_i(j \omega)$,出力$E_o(j \omega)$としたときの周波数伝達関数は,直列回路の,電圧はインピーダンスに比例するので,   

$\dfrac{E_o(j \omega)}{E_i(j \omega)}=\dfrac{R}{1+\dfrac{1}{j \omega C}}=\dfrac{j \omega C R}{1+j \omega C R}$

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一次遅れ系 

$G(s)=\dfrac{K}{Ts+1}$ 

$T$:時定数,$K$:システムのゲイン
二次遅れ系 

$G(s)=\dfrac{\omega_n}{s^2+\zeta \omega_n s+\omega_n^2}$

$\omega_n$:固有角周波数,$\zeta$:減衰係数


(3)ブロック線図

 ブロック線図は,制御の操作部や制御対象などの接続の様子を表したものです。このブロック線図を多く接続すると全体の流れが分かりにくくなるので,等価変換して簡単にすることで,全体も見通しを良くしていきます。等価変換の例を次に示します。

 

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(4)ボード線図

 ボード線図は周波数によってその制御系がどのような応答があるかを見るものです。図の上側のグラフをゲイン曲線,下側を位相曲線と呼びます。

 

 グラフは1次遅れ系$G(s)=\dfrac{1}{1+j \omega T}$のとき,時定数の折れ点周波数$\dfrac{1}{T}$より低い値を$20 \log_{10} 1=0 [dB]$,折れ点周波数より高い値を$20 \log_{10} \dfrac{1}{\omega}=-20 \log_{10} \omega [dB]$として計算します。このため,折れ点周波数より高いときは,周波数が10倍になるごとに-20dB小さくなります。


 ゲイン曲線が0dBを切るときの,位相曲線の-180°よりどれだけ上側にあるのかを位相余裕と呼びます。-180°より大きいと不安定になります。位相余裕が小さいと振動的になります。

 

 位相曲線が-180を切るときの,ゲイン曲線が0dBよりどれだけ下側にあるのかをゲイン余裕と呼びます。ゲイン余裕が小さいと振動的になります。

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