令和3年(2021年) 電験三種 法規 問12
amazon kindle版の「電験三種」に関する本を出版しました。
電子書籍版と紙の書籍版での購入も可能です。
そちらも、ご覧になってください。
問12は、電気設備技術基準の解釈に関する問題です。
解いてみましょう。
「電気設備技術基準の解釈」に基づいて，使用電圧6600V，周波数50Hzの電路に使用する高圧ケーブルの絶縁耐力試験を実施する。次の（a）及び（b）の問に答えよ。
（a）高圧ケーブルの絶縁耐力試験を行う場合の記述として，正しいものを次の（1）～（5）のうちから一つ選べ。
（1）直流10350Vの試験電圧を電路と大地との間に1分間加える。
（2）直流10350Vの試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加える。
（3）直流20700Vの試験電圧を電路と大地との間に1分間加える。
（4）直流20700Vの試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加える。
（5）高圧ケーブルの絶縁耐力試験を直流で行うことは認められていない。
（b）高圧ケーブルの絶縁耐力試験を，図のような試験回路で行う。ただし，高圧ケーブルは3線一括で試験電圧を印加するものとし，各試験機器の損失は無視する。また，被試験体の高圧ケーブルと試験用変圧器の仕様は次のとおりとする。
【高圧ケーブルの仕様】
ケーブルの種類：6600Vトリプレックス形架橋ポリエチレン
絶縁ビニルシースケーブル（CVT）
公称断面積：100mm2，ケーブルのこう長：220m
l線の対地静電容量：0.45μF/km
【試験用変圧器の仕様】
定格入力電圧：AC 0-120V，定格出力電圧：AC 0-12000V
入力電源周波数：50Hz
この絶縁耐力試験に必要な皮相電力の値［kV・A］として，最も近いものを次の（1）～（5）のうちから一つ選べ。
（1）4 （2）6 （3）9 （4）10 （5）17
解答(a)：(4)，(b)：(4)
(a)
電気設備技術基準の解釈 第15条より
高圧又は特別高圧の電路は、次のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。
1 表に規定する試験電圧を電路と大地との間（多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間）に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
2 電線にケーブルを使用する交流の電路においては、表に規定する試験電圧の2倍の直流電圧を電路と大地との間（多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間）に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
最大使用電圧が7,000V以下の電路では、
交流の電路の場合、最大使用電圧の1.5倍の交流電圧
直流の電路の場合、最大使用電圧の1.5倍の直流電圧又は1倍の交流電圧
ここで、最大使用電圧は次のいずれかの方法により求めた、通常の使用状態において電路に加わる最大の線間電圧で、
1,000V以下の場合1.15倍
1,000Vを超え500,000V未満場合1.15／1.1倍
使用電圧6600Vの最大使用電圧は6900V、これを1.5倍して、電路と大地との間に10350Vの交流電圧を10分間加える。もしくは、 2倍の直流電圧20700Vを10分間加える。
（1）直流10350Vの試験電圧を電路と大地との間に1分間加える。・・・直流20700Vと1分間が誤っている。
（2）直流10350Vの試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加える。・・・直流20700Vが誤っている。
（3）直流20700Vの試験電圧を電路と大地との間に1分間加える。・・・1分間が誤っている。
（4）直流20700Vの試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加える。・・・正しい。
（5）高圧ケーブルの絶縁耐力試験を直流で行うことは認められていない。・・・直流電圧20700Vを10分間加える試験が認められているので誤っている。
(b)
対地静電容量は3線一括で1線の対地静電容量：0.45μF/km,ケーブルのこう長：220mより
$C=0.45 \times 3 \times 0.22=0.297 \mu F$
電気設備技術基準の解釈 第１条より
公称電圧が6600Vのとき最高電圧は6900Vとなる。（1.15倍）
また，絶縁性能は 第15条より
最大使用電圧7000V以下では最大使用電圧の1.5倍の試験電圧とするので，
$6900 \times 1.5=10350 V$
対地充電電流Iは
$I=\omega CV=2 \times \pi \times 50 \times 0.297 \times 10^{-6} \times 10350$
$ =0.9657 A$
よって，変圧器の容量は
$0.9657 \times 10350=9995.1 V \cdot A \fallingdotseq 10.0 kV \cdot A$
（平成28年度 第三種電気主任技術者 法規 問12）に同様の問題が出題されている。
