電験三種の電気数学-6
amazon kindle版の「電験三種の電気数学」に関する本を出版しました。
そちらも見て下さい。
数字の基礎、今回は1次不等式です。
1次不等式
電験三種の計算問題は選択式なので、不等式の選択肢は多くありませんが、不等式を使った問題もよく出題されます。例えば、
「③ RLC直列回路に角周波数$\omega [rad/s]$の交流電圧を加えたとき,$\omega L \gt \dfrac{1}{\omega C}$の場合,回路を流れる電流の位相は回路に加えた電圧より遅れ,$\omega L \lt \dfrac{1}{\omega C}$の場合,回路を流れる電流の位相は回路に加えた電圧より進む。(H26 理論 問10)」。ここでは理論の例を示しましたが、理論の問題以外にも出題されています。
(1)不等式の性質
不等式は大小関係を$\gt , \lt, \geqq,\leqq$の記号を用いて表した式です。
不等式の性質は
①$x \gt y$ならば$x-y \gt 0$ である。
②$x \gt 0,y \gt 0 $ならば$x+y \gt 0,xy \gt 0$
③$x \gt y, y \gt z$ならば$x \gt z$
④$x \gt y$ならば$x+z \gt y+z, x-z \gt y-z$
⑤
$x \gt y$で$z \gt 0$のとき,$xz \gt yz,\dfrac{x}{z} \gt \dfrac{y}{z}$
$x \gt y$で$z \lt 0$のとき,$xz \lt yz,\dfrac{x}{z} \lt \dfrac{y}{z}$
・・・※両辺に負の値をかけると符号が逆になる。
(2)不等式の計算
xの次数が1次で、すべての項を左辺に移動したとき、xの1次不等式と呼びます。次の式のような例になります。
$3x+5 \gt x-3$
$3x+5-x+3 \gt 0$
$2x+8 \gt 0$
1次不等式は、次のように解きます。
$2x \gt -8$
$x \gt -4$
もし、$x$の係数が負のときは、不等号の記号が逆になることに注意が必要です。
(3)連立不等式
2つ以上の不等式を解くときに連立方程式を解くといいます。
連立不等式の例を解いてみましょう。
$2x+3 \gt 5x-3$
$3x+4 \gt x-2$
$2x-5x \gt -3-3$
$-3x \gt -6$
$x \lt 2$ ・・・①
$3x-x \gt -2-4$
$2x \gt -6$
$x \gt -3$ ・・・②
①と②が同時に成り立つので、数直線で表すと次のようになります。
よって、連立不等式の解は
$-3 \lt x \lt 2$
(4)絶対値と不等式
$x \gt 0$のとき$\vert x \vert=x, x \lt 0$のとき$\vert x \vert =-x$となるので、
$\vert x \vert \lt y$ のとき $-y \lt x \lt y$
$\vert x \vert \gt y$ のとき $x \lt -y, y \lt x$