ニューラルネットワークとディープラーニング-1
ニューラルネットワークとディープラーニング
amazon kindle版を出版しました。
ニューラルネットワークは1940年代に神経細胞のモデルが提案されました。その後の研究により誤差逆伝搬法などによる手法が提案され、ニューラルネットワークの基礎が築かれた。そして、計算機の計算能力の増大により、ニューラルネットワークを何層にも重ねたディープラーニングという手法が提案され、これまでの不可能とされていた問題を解くことが可能となった。
本書ではニューラルネットワークの基礎となる、ニューロンの基礎をまず学習します。そして、ニューロンを組み合わせて階層化したパーセプトロンと誤差逆伝搬法を学習します。そして、機械学習に用いられる分類問題を例にしながら、ディープラーニングを考えていきます。
1 ニューロン
人間は脳内に100億以上ものニューロンと、ニューロンとニューロンを接続するシナプスで構成されています。ニューロンの種類は数十種類あるのですが、基本的な動作は同じとなっています。人間は考えることができるのだから、この基本的なニューロンをうまく組み合わせれば、人間と同等以上の計算機ができるのではないかという考えが生まれるのは自然な流れです。
図1にニューロンの模式図を示します。細胞体から伸びた軸索が別のニューロンにシナプスを介して、信号が伝達されます。ここでは、軸索は1本しか描かれていませんが、途中でいくつも分岐して別のニューロンに複雑に結合しています。このように、ニューロンからの信号は軸索突起を通じて別のニューロンに伝達されます。
図1 ニューロンの模式図
ニューロンはシナプスを通じて伝達物質を受け取り、ある一定のしきい値以上になると興奮し、信号パルスを別のニューロンに伝達します。また、ニューロンの興奮は持続的に継続せず、しきい値が増加していく疲労と呼ばれる現象もみられます。
このように、ニューロンはしきい値を持った、多くの別のニューロンと結合している電子素子として考えることができます。