橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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令和4年(2022年) 上期 電験三種 理論 問13

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問13は、演算増幅器オペアンプ)の問題です。

この問題は激ムズな問題ですので、この問題は鉛筆を転がして解きましょう。

一番後に、余裕があれば挑戦してみましょう。

解いてみましょう。


 

 次の文章は,図1の回路の動作について述べたものである。
 図1は,演算増幅器オペアンプ)を用いたシュミットトリガ回路である。この演算増幅器には$+5V$の単電源が供給されており,$0V$から$5V$までの範囲の電圧を出力できるものとする。

・出力電圧$v_{out}$は$0$~$5V$の間にあるため,演算増幅器の非反転入力の電圧$v^{+}$[$V$]は[(ア)]の間にある。

・入力電圧$v_{in}$を$0V$から徐々に増加させると,$v_{in}$が[ (イ) ]$V$を上回った瞬間,$v_{out}$は$5V$から$0V$に変化する。

・入力電圧$v_{in}$を$5V$から徐々に減少させると,$v_{in}$が[ (ウ) ]$V$を下回った瞬間,$v_{out}$は$0V$から$5V$に変化する。

・入力$v_{in}$に対する出力$v_{out}$の変化を描くと,図2のような[ (エ) ]を示す特性となる。

 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。



   (ア)   (イ)   (ウ)   (エ) 
(1) $1.25$~$3.75$   $3.75$  $1.25$  位相遅れ 
(2) $1.25$~$3.75$   $1.25$  $3.75$  ヒステリシス 
(3) $2$~$3$  $2$  $3$  ヒステリシス 
(4) $2$~$3$  $2.75$  $2.25$  位相遅れ
(5) $2$~$3$ $3$  $2$  ヒステリシス 

 

 


解答 (5)  



$R_2$に流れる電流は

$\dfrac{v^{+~}}{ R_2}=\dfrac{{E-v^{+~}}}{R_1}+\dfrac{{v_{out}-v^{+~}}}{R_3}$

$v^{+~} \left( \dfrac{1}{R_1}+ \dfrac{1}{R_2}+\dfrac{1}{ R_3} \right)=
\dfrac{{E}}{R_1}+\dfrac{{v_{out}}}{R_3}$

${v_{out}}=
v^{+~} R_3 \left( \dfrac{1}{ R_1}+ \dfrac{1}{R_2}+\dfrac{1}{ R_3} \right)-
\dfrac{{E R_3}}{R_1}$

ここで、ヒステリシスの幅はハイレベルの出力$V_h=5V$、ローレベルの出力$V_l=0V$とすると、以下のように計算できる

${V_{h}}=
v^{+~} R_3 \left( \dfrac{1}{ R_1}+ \dfrac{1}{R_2}+\dfrac{1}{ R_3} \right)-
\dfrac{{E R_3}}{R_1}$

${V_{l}}=
v^{+~} R_3 \left( \dfrac{1}{ R_1}+ \dfrac{1}{R_2}+\dfrac{1}{ R_3} \right)-
\dfrac{{E R_3}}{R_1}$

値を代入すると、
ハイレベルの電圧$5=5v^{+}-10$より、$v^{+}=3V$
ローレベルの電圧$0=5v^+-10$より、$v^+=2V$

$v^{+}$($v_{in}$)が$0V$から徐々に増加して$3V$に達すると$v_{out}$は5Vから0Vに変化する。※$v_{out}$は連続的に変化しない。
$v^+$が$5V$から徐々に減少して$2$に達すると、$v_{out}$は$0V$から$5V$に変化する。
よって、
出力電圧$v_{out}$は$0$~$5$Vの間にあるため,演算増幅器の非反転入力の電圧$v^+$[$V$]は[$2$~$3$(ア)]の間にある。

・入力電圧$v_{in}$を0Vから徐々に増加させると,$v_{in}$が[$3$ (イ) ]$V$を上回った瞬間,$v_{out}$は5Vから0Vに変化する。

・入力電圧$v_{in}$を$5V$から徐々に減少させると,$v_{in}$が[$2$ (ウ) ]$V$を下回った瞬間,$v_{out}$は$0V$から$5V$に変化する。

・入力$v_{in}$に対する出力$v_{out}$の変化を描くと,図2のような[ヒステリシス (エ) ]を示す特性となる。