橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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令和2年(2020年) 電験三種 理論 問18

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  問18

 図1に示すエミッタ接地トランジスタ増幅回路について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
 ただし,$I_B $[μA],$I_C $[mA]はそれぞれベースとコレクタの直流電流であり,$i_b $[μA],$i_c $[mA]はそれぞれの信号分である。また,$V_{BE}$[V],$V_{CE}$[V]はそれぞれベース-エミッタ間とコレクタ-エミッタ間の直流電圧であり,$v_{be} $ [Ⅴ],$v_{ce} $[Ⅴ]はそれぞれの信号分である。さらに,$v_i $[Ⅴ],$v_o $[Ⅴ]はそれぞれ信号の入力電圧と出力電圧,$V_{CC} $[V]はバイアス電源の直流電圧,$R_1 $[kΩ]と$R_2 $[kΩ]は抵抗,$C_1 $[F],$C_2 $[F]はコンデンサである。なお,$R_2 = 1 k \Omega $であり,使用する信号周波数において$C_1 $,$C_2 $のインピーダンスは無視できるほど十分小さいものとする。

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(a)図2はトランジスタの出力特性である。トランジスタの動作点を$V_{CE}=\dfrac{1}{2} V_{CC} =6 V $に選ぶとき,動作点でのベース電流$ I_B $の値[μA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)20  (2)25  (3)30  (4)35  (5)40

 

(b)小問(a)の動作点において,図1の回路に交流信号電圧$ v_i  $を入力すると,最大値$ 10 \mu A $の交流信号電流$ i_b $と小問(a)の直流電流$I_B $の和がベース(B)に流れた。
このとき,図2の出力特性を使って求められる出力交流信号電圧$v_o $($=v_{ce}$)の最大値[Ⅴ]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,動作点付近においてトランジスタの出力特性は直線で近似でき,信号波形はひずまないものとする。

(1)1.0  (2)1.5  (3)2.0  (4)2.5  (5)3.0

 


 

答え (a):(3)、(b):(3)

 

(a)動作点を図2から求めると、$R_2 = 1 k \Omega $、$V_{CC}=12V $より、$I_C=12mA $から、$V_{CC}=12 V$に向けて直線を図のように引きます。$6 V $を動作点として選ぶので、このときの$I_B=30 \mu A $となります。

 

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(b)交流信号電圧$v_i $を入力すると,最大値$10 \mu A $の交流信号電流$i_b $と小問(a)の直流電流$I_B $の和がベース(B)に流れた。このため、$i_b=\pm 10 \mu A $の交流正弦波の信号が流れたと考えられる。$V_{CE}+v_{ce}=6 \pm 2 V$となる。ここで、$v_o $は、バイアス分(直流分)を取り除いた交流成分が出力される。このため、$v_o $の最大値は$2.0 V $となる。

 

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