橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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令和3年(2021年) 電験三種 電力 問17

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問17は、送電線の電圧降下の問題です。

解いてみましょう。


 

 図のように,高圧配電線路と低圧単相2線式配電線路が平行に施設された設備において,1次側が高圧配電線路に接続された変圧器の2次側を低圧単相2線式配電線路のS点に接続して,$A$点及び$B$点の負荷に電力を供給している。$S$点における線間電圧を$107V$,電線1線当たりの抵抗及びリアクタンスをそれぞれ$0.3 \Omega /km$及び$0.4 \Omega/ km$としたとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。なお,計算においては各点における電圧の位相差が十分に小さいものとして適切な近似を用いること。

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(a)$B$点における$S$点に対する電圧降下率の値[%]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,電圧降下率は$B$点受電端電圧基準によるものとする。

(1)$1.57$ (2)$3.18$ (3)$3.30$ (4)$7.75$ (5)$16.30$


(b)$C$点に電流$20A$,力率$0.8$(遅れ)の負荷が新設されるとき,変圧器を移動して単相2線式配電線路への接続点を$S$点から$S’$点に変更することにより,$B$点及び$C$点における線間電圧の値が等しくなるようにしたい。このときの$S$点から$S’$点への移動距離の値[km]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)$0.213$ (2)$0.296$ (3)$0.325$ (4)$0.334$ (5)$0.528$

 



解答(a):(2),(b):(3)   

 

(a)単相2線式の電圧降下は$2I(R \cos \theta+X \sin \theta)$

S点における線間電圧を$107V$、電線1線当たりの抵抗及びリアクタンスをそれぞれ$0.3  \Omega /km$及び$0.4  \Omega /km$、点$A$での電流$15A$、力率$1$、点$B$での電流$5A$、力率$1$より、
点Aでの$15A$による電圧降下は
$2 \times 15 \times 0.3 \times 0.2=1.8V$
点Bでの5Aによる電圧降下は
$2 \times 5 \times 0.3 \times (0.2+0.3)=1.5V$
よって、$1.8+1.5=3.3V$電圧降下する。

$\epsilon=\dfrac{V_s-V_r}{V_r}\times 100=\dfrac{3.3}{107-3.3}\times 100=3.18 \%$
(b)

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$C$点に電流$20A$,力率$0.8$(遅れ)の負荷を新設した場合電圧降下は、接続点を$S$点から$S’$点の移動距離を$x[km]$とすると、C点における電圧降下は
$V_C=2 \times 20 \times (0.3 \times 0.8+0.4 \times 0.6) \times (0.7-x)$
$=19.2(0.7-x)[V]$

点$A$での$15A$による電圧降下は
$2 \times 15 \times 0.3 \times (0.2+x)=1.8+9x[V]$
点$B$での$5A$による電圧降下は
$2 \times 5 \times 0.3 \times (0.2+0.3+x)=1.5+3x[V]$
よって、合計すると電圧降下は$3.3+12x[V]$
$B$点及び$C$点における線間電圧の値が等しくなるようにするには、電圧降下が等しければ良いので
$19.2(0.7-x)=3.3+12x$
$10.14=31.2x$
$x=0.325km$