令和2年(2020年) 電験三種 理論 問10続き
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問10
図の回路のスイッチを閉じたあとの電圧$v(t)$の波形を考える。破線から左側にテブナンの定理を適用することで,回路の時定数[s]と$v(t)$の最終値[V]の組合せとして,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,初めスイッチは開いており,回路は定常状態にあったとする。
時定数[s] | 最終値[V] | |
---|---|---|
(1) | 0.75 | 10 |
(2) | 0.75 | 2.5 |
(3) | 4 | 2.5 |
(4) | 1 | 10 |
(5) | 1 | 0 |
答え (2)
この式を微分方程式で解くと、少し難しくなります。
図のように、電圧、抵抗、コンデンサをおきます。
このとき、微分方程式は、次の連立方程式になります。
$R_1 i_1+R_2(i_1-i_2)=E$・・・(1)
$R_2 (i_1-i_2)=\dfrac{1}{C} \int i_2 dt$・・・(2)
式(2)を変形すると
$-R_2 (i_1-i_2)+\dfrac{1}{C} \int i_2 dt=0 $・・・(2)'
(1)を変形すると
$i_1=\dfrac{E+R_2 i_2}{R_1+R_2}$
この式を(2)'に代入して変形すると
$-\dfrac{R_2 E-R_1 R_2 i_2}{R_1+R_2}+\dfrac{1}{C} \int i_2 dt=0 $
$\dfrac{R_1 R_2 }{R_1+R_2}i_2+\dfrac{1}{C} \int i_2 dt =\dfrac{R_2 E}{R_1+R_2} $
ここで、$ R_0=\dfrac{R_1 R_2 }{R_1+R_2}=0.75 \Omega , E'=\dfrac{R_2 E}{R_1+R_2}=2.5V $ とし、
$ i_2=\dfrac{ d q }{ dt } $ とおけば、次式のようになります。
$ R_0 \dfrac{d q}{dt}+\dfrac{1}{C}q=E' $
この式を変数分離の方法で計算します。式を変形すると
$ \dfrac{1}{q-CE'}d q=-\dfrac{1}{CR_0} dt $
$ \log | q-CE'|=-\dfrac{1}{CR_0}t+K $
$K$は積分定数
式を変形すると
$ q-CE'=K'e^{-\dfrac{1}{CR_0}t}$
$K’$は積分定数
$ t=0 $のとき、初期状態$ q=0 $なので
$ q=CE' \left(1-e^{-\dfrac{1}{CR_0}t} \right)$
よって、時定数$T=CR_0=0.75s $、電圧の最終値は$ E'=2.5V $になります。
これらから、答えは(2)となります。