橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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平成29年(2017年) 電験三種 理論 問17

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そちらも見て下さい。 

 




  問17

 

 巻数$ N $のコイルを巻いた鉄心1と,空隙(エアギャップ)を隔てて置かれた鉄心2からなる図1のような磁気回路がある。この二つの鉄心の比透磁率はそれぞれ$\mu _{r1}=2000, \mu_{r2}=1000$であり,それらの磁路の平均の長さはそれぞれ$l_1=200mm, l_2=98mm$,空隙長は$\delta=1mm$である。ただし,鉄心1及び鉄心2のいずれの断面も同じ形状とし,磁束は断面内で一様で,漏れ磁束や空隙における磁束の広がりはないものとする。このとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

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(a)空隙における磁界の強さ$H_0$に対する磁路に沿った磁界の強さ$H$の比$\dfrac{H}{H_0}$を表すおおよその図として,最も近いものを図2の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,図1に示す$x=0mm$から時計回りに磁路を進む距離を$x [mm]$とする。
 また,図2は片対数グラフであり,空隙長$\delta[mm]$は実際より大きく表示している。

 

f:id:hashi-rei-channel:20200425215750p:plain

(b)コイルに電流$I=1A$を流すとき,空隙における磁界の強さ$H_0 $を$2 \times 10^4 A/m $以上とするのに必要なコイルの最小巻数$ N $の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)24  (2)44  (3)240  (4)4400  (5)40400

   


 

答え (a):(2) ,(b):(2)

 

(a)
磁界の強さ$H$は透磁率$\mu$と反比例の関係にある。
よって,空隙$H_0$は透磁率$\mu=1$とすると,
鉄心1の透磁率$\mu_{r1}=2000$,
鉄心2の透磁率$\mu_{r2}=1000$
から,$\dfrac{H}{H_0}$

空隙部$\dfrac{H}{H_0}=1$とすると
鉄心1部$\dfrac{H}{H_0}=\dfrac{1}{2000}=5 \times 10^{-4}$
鉄心2部$\dfrac{H}{H_0}=\dfrac{1}{1000}=1 \times 10^{-3}$

(b)
空隙部の磁界の強さ$H_0=\dfrac{B}{\mu_0}$

また,磁束$\Phi=S B=\dfrac{I N}{R_m}$
($S$:断面積,$ R_m $:磁気抵抗)
これを変形すると$B=\dfrac{I N}{S R_m}$
$H_0=\dfrac{I N}{\mu_0 S R_m}$・・・①

ここで,磁気抵抗は
鉄心1は

$R_{m1}=\dfrac{l_1}{\mu_0 \mu_{r1} S}=\dfrac{200 \times 10^{-3}}{2000 S}=\dfrac{10 \times 10^{-5}}{S}$

鉄心2は

$R_{m2}=\dfrac{l_2}{\mu_0 \mu_{r2} S}=\dfrac{98 \times 10^{-3}}{1000 S}=\dfrac{9.8 \times 10^{-5}}{S}$

空隙は

$R_{m0}=\dfrac{2 \delta}{\mu_0  S}=\dfrac{2 \times 10^{-3}}{S}=\dfrac{200 \times 10^{-5}}{S}$
合計した値は

$\dfrac{10 \times 10^{-5}}{S}+\dfrac{9.8 \times 10^{-5}}{S}+\dfrac{200 \times 10^{-5}}{S}=\dfrac{219.8 \times 10^{-5}}{S}$
コイルに電流$I=1A$を流すとき,空隙における磁界の強さ$H_0$を$2×10^4 A/m$以上とするので①式に代入すると

 $2 \times 10^4=\dfrac{N}{219.8 \times 10^{-5}}$

$N=2 \times 10^4 \times 219.8 \times 10^{-5}=43.96 \fallingdotseq 44$