電験三種 電力 基礎力向上テキスト-26
amazon kindle版の「電験三種」に関する本を出版しました。
そちらも見て下さい。
5.9 地中送電線路
(1)地中送電線路の特徴
・自然災害などの事故が少ない。
・都市景観が良くなる。
・誘導障害が少ない
・建設費が高い
・事故時の復旧に時間がかかる
・架空送電線と比較して送電容量が小さい。
などがあります。
(2)電力ケーブルは
架橋ポリエチレンを使用したCVケーブルが多く使用されています。油を使用したOFケーブル,POFケーブルも用いられています。また,$SF_6$を充てんしたパイプに導体を通したGIL(管路気中送電線)は,架空送電線と同等の送電能力を有しています。
(3)充電容量,充電電流
・作用静電容量
対地静電容量$C_s$,導体間の静電容量$ C_m $とすると,作用静電容量$C$は次式で表されます。
$ C=C_s+3C_m $
・充電容量
三相ケーブルに三相交流電圧$V$を加えると次のような充電電流が流れます。
$I=2 \pi fC \dfrac{V}{\sqrt{3}} [A]$
・充電容量
充電容量$P$は,電圧$V$,充電電流$I$として,次式で表されます。
$P=\sqrt{3}V I=2 \pi f C V^2[VA]$
(4)損失
ケーブルの損失には,抵抗損(導体損),誘電体損,シース損があります。
・抵抗損
抵抗損は導体の抵抗により生ずる損失です。
・誘電体損
絶縁体に紙などを用いるため,この絶縁物の誘電体による損失があります。充電容量$P$,誘電体損$P_d$,充電電流に対する誘電体正接を$tan \delta$とすると,次式のように求めることができます。
$ R_d=P tan \delta =2 \pi f C V^2 tan \delta$
・シース損
ケーブルの周りは鉛被のような金属の導電体(シース)でおおわれている。導体に交流電流が流れると,この金属に渦電流損と,ケーブルの長手方向に流れる循環電流損(シース回路損)が発生します。シース回路損はうず電流損よりたいへんに大きく,この低減策としてシース回路の接続をねん架(クロスボンド方式)により,シース損を大きく低下させることができます。