橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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電験三種 電力 基礎力向上テキスト-23

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 5. 送電
 5.1 送電設備

(1)電線
・鋼銅より線
 硬銅は導電率が97%と高く,機械的強度が強い,このため,電線によく用いられるが,価格が高く,アルミ線と比較して,重量が重い。

・鋼心アルミより線(ACSR)
 アルミの導電率は約61%と低いが,軽いため,同一抵抗の硬銅線と比較して,外径を大きくでき,コロナ臨界電圧を高くとれる。価格も安いので,高圧送電線に使用されている。


(2)多導体
 送電線に1相あたり1本でなく,複数本で送電を行うものを多導体と呼ぶ。数十mごとに,電線どうしがぶつからないように,スペーサを設けている。多導体の特徴は以下の通りとなる。
・電流容量を大きくできる。
・送電容量も大きくできる。
・電線のインダクタンスが減少,静電容量は増加
・コロナが発生しにくい。
・スペーサなどの設備が必要で,工事が難しくなる。


(3)電線の振動
 電線の振動には微風振動,ギャロッピング,サブスパン振動などがある。
①微風振動
 比較的緩やかな風によって,電線が振動する現象。この振動によって電線が金属疲労で切断することがある。このため,電線に振動を吸収するダンパ,電線のクランプされているところに巻きつけるアーマロッドがあります。

②ギャロッピング
 電線に雪や氷が付着し,これに対して風が吹きつけると,振幅の大きな緩やかな振動を起こす。この振動をギャロッピングと呼びます。電線の平滑化,難着雪リング,相間スペーサ等の対策があります。

③スリートジャンプ
 電線に雪や氷が付着し気温上昇などで,それがはがれ落ちるときに発生します。電線が真上に跳ね上がるため,相間短絡事故が発生します。電線の平滑化,難着雪リング,相間スペーサ等の対策があります。


(4)がいし
 がいしは,懸垂がいし,長幹がいしなどがあるが,送電線でよく見かけるのが,傘のような形をした懸垂がいしである。
 懸垂がいしは公称電圧と沿岸部や山間部などの場所によって,数個から数十個の個数が決まっている。

 

(5)鉄塔
 電線を支える鉄塔は,コンクリートの基礎に鉄骨や鉄柱を用いて支持しています。これにより,風圧や電線の引張荷重に耐える設計がなされています。よく見るのが鉄塔の足部分が四角の形を四角鉄塔で,電車の送電に使われている門型鉄塔もあります。また,街中の景観に配慮したデザインの鉄塔もあります。