橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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平成29年(2017年) 電験三種 電力 問10

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  問10

 

 交流の地中送電線路に使用される電力ケーブルで発生する損失に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)電力ケーブルの許容電流は,ケーブル導体温度がケーブル絶縁体の最高許容温度を超えない上限の電流であり,電力ケーブル内での発生損失による発熱量や,ケーブル周囲環境の熱抵抗,温度などによって決まる。

(2)交流電流が流れるケーブル導体中の電流分布は,表皮効果や近接効果によって偏りが生じる。そのため,電力ケーブルの抵抗損では,ケーブルの交流導体抵抗が直流導体抵抗よりも増大することを考慮する必要がある。

(3)交流電圧を印加した電力ケーブルでは,電圧に対して同位相の電流成分がケーブル絶縁体に流れることにより誘電体損が発生する。この誘電体損は,ケーブル絶縁体の誘電率と誘電正接との積に比例して大きくなるため,誘電率及び誘電正接の小さい絶縁体の採用が望まれる。

(4)シース損には,ケーブルの長手方向に金属シースを流れる電流によって発生するシース回路損と,金属シース内の渦電流によって発生する渦電流損とがある。クロスボンド接地方式の採用はシース回路損の低減に効果があり,導電率の高い金属シース材の採用は渦電流損の低減に効果がある。

(5)電力ケーブルで発生する損失のうち,最も大きい損失は抵抗損である。抵抗損の低減には,導体断面積の大サイズ化のほかに分割導体,素線絶縁導体の採用などの対策が有効である。

 


 

答え (4)

 

(4)シース損には,ケーブルの長手方向に金属シースを流れる電流によって発生するシース回路損と,金属シース内の渦電流によって発生する渦電流損とがある。クロスボンド接地方式の採用はシース回路損の低減に効果があり,導電率の高い金属シース材の採用は渦電流損の低減に効果がある。×

導電率の「低い」金属シース材の採用

導電率の「低い」・・・抵抗の高い金属シース材を採用