橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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平成29年(2017年) 電験三種 電力 問16

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  問16

 

 図に示すように,対地静電容量$C_e [F]$,線間静電容量$C_m [F]$からなる定格電圧 $E[V]$の三相1回線のケーブルがある。
 今,受電端を開放した状態で,送電端で三つの心線を一括してこれと大地間に定格電圧$E [V]$の$\dfrac{1}{\sqrt{3}}$倍の交流電圧を加えて充電すると全充電電流は$ 90A$であった。
 次に,二つの心線の受電端・送電端を接地し,受電端を開放した残りの心線と大地間に定格電圧$E [V]$の$\dfrac{1}{\sqrt{3}}$倍の交流電圧を送電端に加えて充電するとこの心線に流れる充電電流は $45A$であった。

 次の(a)及び(b)の問に答えよ。
 ただし,ケーブルの鉛被は接地されているとする。また,各心線の抵抗とインダクタンスは無視するものとする。なお,定格電圧及び交流電圧の周波数は,一定の商用周波数とする。

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(a)対地静電容量$C_e [F]$と線間静電容量$C_m [F]$の比$\dfrac{C_e}{C_m}$として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.5 (2)1.0 (3)1.5 (4)2.0 (5)4.0


(b)このケーブルの受電端を全て開放して定格の三相電圧を送電端に加えたときに1線に流れる充電電流の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)52.5  (2)75  (3)105  (4)120  (5)135

 


 

答え (a):(5) (b):(1)

 

(a)

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三つの心線を一括してこれと大地間に定格電圧$E [V]$の$\dfrac{1}{\sqrt{3}}$倍の交流電圧を加えたので,$C_m $は考慮しなくともよい。$C=3C_e$
全充電電流は$I=\dfrac{\omega 3 C_e V}{\sqrt{3}}$より

$90=\dfrac{\omega 3 C_e V}{\sqrt{3}}$

$\dfrac{30}{C_e}=\dfrac{\omega  V}{\sqrt{3}}$・・・(1)

 二つの心線の受電端・送電端を接地したので、

$C'=2C_m+C_e$

$45=\dfrac{\omega(2 C_m+C_e)V}{\sqrt{3}}$

$\dfrac{45}{2 C_m+C_e}=\dfrac{\omega V}{\sqrt{3}}$

 (1)を代入して

$\dfrac{45}{2 C_m+C_e}=\dfrac{30}{C_e}$

$3C_e=2(2 C_m+C_e)$

$ C_e=4 C_m $

$\dfrac{C_e}{C_m}=4$

 

(b)

(a)より,$\dfrac{C_e}{C_m}=4$

$C_m=\dfrac{C_e}{4}=0.25 C_e$

作用静電容量は$C=3 C_m+C_e$から

$C=0.75 C_e+C_e=1.75 C_e$
(a)の$90=\dfrac{\omega 3 C_e V}{\sqrt{3}}$より
$\dfrac{\omega  C_e V}{\sqrt{3}}=30 A$・・・(2)

線間電圧を$V$とすると
全充電電流は$I=\dfrac{\omega  C V}{\sqrt{3}}$より

$\dfrac{\omega  1.75 C_e V}{\sqrt{3}}$

(2)を代入すると

 $=1.75 \times 30 = 52.5 A$