橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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電験三種 理論 基礎力向上テキスト-22

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そちらも見て下さい。 

 


第3編 過渡現象
1. RL直列回路の過渡現象

 過渡現象は回路が安定して落ち着くまでの,ごく短い時間に起こる現象です。過渡現象を本格的に勉強するには,微分方程式を解くことが必要になります。
 RL直列回路では次の微分方程式が成立します。
$L \dfrac{di}{dt}+Ri=E$

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 過渡現象を解いて一般解を求めるには,過渡現象の状態を表す過渡解と,定常状態の定常解の和を用います。

 一般解=過渡解+定常解

ここでは,まだ回路が複雑ではないので,いきなり一般解を求めます。

 

 微分方程式の変数分離の方法によって求めると,
$L d i=E-Ri$

式を変形して両辺を積分すると

$\int \dfrac{1}{i-\dfrac{E}{R}} di=-\dfrac{R}{L} \int dt$

$\log |i-\dfrac{E}{R}|=-\dfrac{R}{L}t+K$

Kは積分定数

ここで,指数関数の形式にすると
$i-\dfrac{E}{R}=\pm e^K e^{-\frac{R}{L}t}$


ここで,$K'=\pm e^K$とすると

$i=\dfrac{E}{R}+K' e^{-\frac{R}{L}t}$

初期値$t=0$のとき$i=0$を適用すると,$e^0=1$より$K'=-\dfrac{E}{R}$

$i=\dfrac{E}{R} \left(1- e^{-\frac{R}{L}t} \right)$

 

ここで,$R$の両端の電圧$V_Rは$V_R=i_R$より,

$i=E \left(1- e^{-\frac{R}{L}t} \right)$

 また,Lの両端の電圧は
$V_L=V-V_R=E e^{-\frac{R}{L}t}$

 図3.2に電流iとR,L両端の電圧を示します。図3.2では電圧1V,抵抗2Ω,コイルのインダクタンス2Hとしました。

時定数Tは時刻0[sec]の傾きを,延長し過渡現象が収束する図3.2の1Vのところと交わった時間が時定数になります。

ここでは,$T=\dfrac{L}{R}=1 sec$が時定数です。また,時定数の時間$T$において,63.2%の大きさになります。このように,基本的に過渡現象は,指数関数で増加,減少します。

 

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