橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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電験三種 理論 基礎力向上テキスト-17

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そちらも見て下さい。 

 


 1. 交流回路

 1.2 フェーザ表示と複素数表示

(3)複素数の計算
 複素数の計算は必ず出てきますので、ここで、しっかりと理解しておきましょう。
 ①複素数表示の計算
 $V_1=a+jb$ 
 $V_2=c+jd$
のとき,加減乗除の計算をします。

・加減算
$V_1+V_2=a+jb+c+jd=a+c+j(b+d)$
$V_1-V_2=a+jb-(c+jd)=a-c+j(b-d) $

・乗算
$V_1 \times V_2=(a+jb)(c+jd)=a c+j a d+j b c- b d=a c-b d+j(a d+b c)$

・除算

$\dfrac{V_1}{V_2}=\dfrac{a+jb}{c+jd}$

$=\dfrac{(a+jb)(c-jd)}{c^2+d^2}$

$=\dfrac{ac+bd}{c^2+d^2}+j \dfrac{b c-a d)}{c^2+d^2}$

 


  ②フェーザ表示の計算
 $V_1=|V_1| \angle \theta_1=a+jb$
 $V_2=|V_2| \angle \theta_2=c+jd$
とおきます。

 

・加減算
 フェーザ表示では,加減算はそのまま計算できませんので,いったん複素数表示に直します。よって,

$V_1+V_2=a+jb+c+jd=a+c+j(b+d)=|V_3| \angle \theta_3$

ただし,$|V_3|=\sqrt{(a+c)^2+(b+d)^2)}$,$\theta_3=\dfrac{b+d}{a+c}$

 

$V_1-V_2=a+jb-(c+jd)=a-c+j(b-d)=|V_4| \angle \theta_4$

ただし,$|V_3|=\sqrt{(a-c))^2+(b-d)^2)}$,$\theta_3=\dfrac{b-d}{a-c}$

・乗算
$V_1 \times V_2=|V_1||V_2| \angle(\theta_1+\theta_2)$
・除算
$\dfrac{V_1}{V_2}=\dfrac{|V_1|}{|V_2|} \angle(\theta_1-\theta_2)$

これらのことから,加減算は複素数表示,乗除算はフェーザ表示がよいと思われます。
また,複素数(ベクトル)であることを表示するために,変数に・を付けて表現することが良くあります。(1階微分の・と同じなので注意しましょう。)
 $\dot{V}_1=a+jb$