橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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電験三種 理論 基礎力向上テキスト-8

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そちらも見て下さい。 

 


 2. 直流回路の法則

 2.1 キルヒホッフの法則

 簡単な回路では,電圧や電流の計算はすぐに求めることができますが,複雑な回路(回路網)では,一筋縄ではいきません。そこで,キルヒホッフの法則を用いて,回路の計算を行います。
 ※回路網:網の目のように複雑な電気回路

ただし、キルヒホッフの第二法則を使う問題は、時間がかかりすぎるので、後回しにした方が無難です。

 

(1)キルヒホッフの第一法則・・・電流に関する法則
 電気回路の任意の接続点に流入する電流の和と流出する電流の和は等しい。
流入する電流の総和は0である。)

 

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 図2.1のとき,中央の点に流れる電流は次式で計算できます。
 $I_1 +I_2=I_3 +I_4$
 $I_1 +I_2-I_3 -I_4=0$

 

(2)キルヒホッフの第二法則・・・電圧に関する法則

 回路の任意の閉路を一定方向に一周したとき,回路の各部分の起電力の和と電圧降下の和は等しい。

 図2.2に示すように,時計方向周りを1周したとき,電圧降下は,電流の方向を矢印のように設定すると$I_1 R_1+I_2 R_2+I_3 R_3+I_4 R_4$,起電力は$E_3$が矢印と逆向きなので$-E_3+E_4$となります。(時計と反対回りでも同じ結果になります。)

 この,電圧降下と起電力が等しいので,この閉回路の式は次式で表されます。
 $I_1 R_1+I_2 R_2+I_3 R_3+I_4 R_4=-E_3+E_4$

 キルヒホッフの法則は交流回路でも適用できます。

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 例題

 次の回路に流れる電流を,キルヒホッフの法則で求めなさい。
ただし,$E_1=100V,E_3=90V,R_1=6\Omega,R_2=2\Omega,R_3=5\Omega$とする。

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  $I_1+I_2+I_3=0$

 $I_1=-I_2-I_3$ ・・・(1)

閉回路①の式

 $I_1 R_1-I_2 R_2=E_1$ ・・・(2)

閉回路②の式

 $I_2 R_2-I_3 R_3=-E_3$ ・・・(3)
(2)式に(1)を代入すると

 $(-I_2-I_3)R_1-I_2 R_2=E_1$

 $-I_2 (R_1+R_2)-I_3 R_1=E_1$ ・・・(4)

ここで,値を代入すると(4)式は

 $-I_2×(6+2)-I_3×6=100$

 $-8 I_2-6 I_3=100$

 $-4 I_2-3 I_3=50$ ・・・(5)

(3)式は

 $2 I_2-5 I_3=-90$ ・・・(6)

(6)式を2倍すると

 $4 I_2-10 I_3=-180$ ・・・(7)

(7)式と(5)式をたすと

 $-13 I_3=-130$ 

よって,

$I_3=10[A], I_2=-20[A], I_1=10[A]$

となります。