電験三種の電気数学-4
amazon kindle版の「電験三種の電気数学」に関する本を出版しました。
そちらも見て下さい。
数字の基礎、今回は平方根です。
(1)平方根
平方根は2乗して$x$になる数を、$x$の平方根と呼びます。
例えば4の平方根は$\pm 2$となります。
$(-2)^2=4$,
$ 2^2=4$
ただし、$\sqrt{4}=2$となり、正の数だけです。
また、$\sqrt{0}=0$と定義されます。
平方根の一般的な性質は次のようになります。
①$\sqrt{x^2}=\vert x \vert $より
$ x \geqq 0$のとき $x$
$x \lt 0$のとき $-x$
②$(\sqrt{x})^2= x $($ x \geqq 0$のとき)
③$\sqrt{x} \sqrt{y}=\sqrt{xy}$($ x \geqq 0,y \geqq 0$のとき)
$\dfrac{\sqrt{x}}{\sqrt{y}}=\sqrt{\dfrac{x}{y}} $($ x \geqq 0,y \gt 0$のとき)
(2)二重根号
$\sqrt{x+y+2\sqrt{xy}}=\sqrt{x} +\sqrt{y}$ ($x \gt 0 , y \gt 0$)
$\sqrt{x+y-2\sqrt{xy}}=\sqrt{x}- \sqrt{y}$ ($x \gt y \gt 0$)
①$X=\sqrt{x},Y=\sqrt{y}$とおくと、
($x \gt 0, y \gt 0$より$X \gt 0,Y \gt 0$)
$x+y+2 \sqrt{xy}=X^2+Y^2+2 XY=(X+Y)^2$
$\sqrt{x+y+2\sqrt{xy}}=\sqrt{(X+Y)^2}=X+Y=\sqrt{x} +\sqrt{y}$
②$X=\sqrt{x},Y=\sqrt{y}$とおくと、
($x \gt y \gt 0$より$X \gt Y \gt 0$)
$x+y-2 \sqrt{xy}=X^2-Y^2+2 XY=(X-Y)^2$
$\sqrt{x+y-2\sqrt{xy}}=\sqrt{(X-Y)^2}=X-Y=\sqrt{x} -\sqrt{y}$
(3)複素数
$i^2=-1$で表される数が虚数になります。平方根で記述すると、$\sqrt{-1
}$となり、変数$x$の場合の虚数は$\sqrt{-x}=x i $($x \gt 0$)となります。
※数学では虚数は$i$で表されますが、電気工学では虚数は$j$で表します。これは電気工学では$i$は電流の瞬時値で表し、この電流$i$と混同しないようにするためです。以降虚数は$j$で表します。
複素数は$a+bj$($a$、$b$は実数)の形で表され、$a$が実部、$b i$は虚部と呼ばれています。また、$a+bj$に対して$a-bj$を共役(きょうやく)な複素数と呼んでいます。
$a+bj+c+dj=a+c+(b+d)j$
$a+bj-(c+dj)=a-c+(b-d)j$
$(a+bj)(c+dj)=ac-bd+(bc+ad)j$
$\dfrac{a+bj}{c+dj}=\dfrac{(a+bj)(c-di)}{(c+dj)(c-di)}=\dfrac{ac+bd+(bc-ad)j}{c^2+d^2}$
($a,b,c,d$は実数)
通常、分母の複素数は共役な複素数をかけて実数にします。