橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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令和2年(2020年) 電験三種 機械 問4

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  問4

 次の文章は,回転界磁形三相同期発電機の無負荷誘導起電力に関する記述である。


 回転磁束を担う回転子磁極の周速を$v$[m/s],磁束密度の瞬時値を$b$[T],磁束と直交する導体の長さを$l$[m]とすると,1本の導体に生じる誘導起電力$e$[Ⅴ]は次式で表される。
 $e=vbl$
極数を$p$,固定子内側の直径を$D$[m]とすると,極ピッチ$ τ $[m]は$ τ=\dfrac{\pi }{p} $であるから,$f$[Hz]の起電力を生じる場合の周速$v$は$v=2τf$である。したがって,角周波数$ \omega $[rad/s]を$ \omega =2 \pi f $として,上述の磁束密度瞬時値$b$[T]を
$b(t)=B_m \sin \omega t $と表した場合,導体1本あたりの誘導起電力の瞬時値$e(t)$は
 $e(t)=E_m \sin \omega t$
 $E_m=$[ (ア) ]$B_m l $
となる。
 また,回転磁束の空間分布が正弦波でその最大値が$B_m $のとき,1極の磁束密度の[ (イ) ]$B $[T]は$B=\dfrac{2}{\pi}B_m $であるから,1極の磁束$ \Phi $[Wb] は $\Phi=\dfrac{2}{\pi} B_m τ l $である。
したがって,1本の導体に生じる起電力の実効値は次のように表すことができる。
 $\dfrac{E_m}{\sqrt{2}}=\dfrac{\pi}{\sqrt{2}} f \Phi =2.22 f \Phi $
よって,三相同期発電機の1相あたりの直列に接続された電機子巻線の巻数を$N$とすると,回転磁束の空間分布が正弦波の場合,1相あたりの誘導起電力(実効値)$E$[V]は,
 $E=$[ (ウ) ]$f \Phi N $
となる。
 さらに,電機子巻線には一般に短節巻と分布巻が採用されるので,これらを考慮した場合,1相あたりの誘導起電力Eは次のように表される。
 $E=$[ (ウ) ]$k_w f \Phi N $

ここで$k_w$を[ (エ) ]という。

 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 

   (ア)   (イ)   (ウ)   (エ) 
(1) $2 τ f $  平均値 2.22 巻線係数
(2) $2 \pi f $  最大値 4.44 分布係数
(3) $2 τ f $  平均値 4.44 巻線係数
(4) $2 \pi f $  最大値 2.22 短節係数
(5) $2 τ f $  実効値 2.22 巻線係数

  答え (3) 

 

(ア)の箇所
 $e=v b l $より、$v=2 τ f $、$b(t)=B_m \sin \omega t $を代入すると
$e(t)=2 τ f  B_m \sin \omega t l$
ここで、
$e(t)=E_m \sin \omega t$より、上式と比較して、
$E_m=2 τ f B_m l $

よって、(ア)は$2 τ f $

(イ)より、(イ)は平均値となります。

(ウ)1本の導体に導体に生じる起電力の実効値は2.22なので、1相あたりは2倍して4.44となります。
 $E=[ 4.44 ]k_w f \Phi N $

(エ)
$k_w$を[ 巻線係数 ]という。