電験三種 電力 基礎力向上テキスト-24
amazon kindle版の「電験三種」に関する本を出版しました。
そちらも見て下さい。
5.5 雷害対策
(1)架空地線
架空送電線への直撃雷を防止するため,鉄塔の最上部に設置されます。直撃雷の防止のため,遮へい角は小さいほどよく,高圧送電線では遮へい角は15°以下としています。
図5.1 架空地線
(2)埋設地線
鉄塔と大地間の抵抗が高い場合,架空地線に直撃した雷により,鉄塔の電位が上昇し,送電線に放電する逆フラッシオーバが発生することがあります。このため,鉄塔から数10mの亜鉛メッキより線を数本埋設することによって,接地抵抗を低く保つことができます。
(3)アークホーン
フラッシオーバによってがいしが破損することを防止するため,がいしにアークホーンを設置します。アークホーンは図に示すように,雷の異常電圧時には,がいしの絶縁よりアークホーンの絶縁を下げがいしの破壊を防止している。
図5.2 アークホーン
(4)不平衡絶縁
並行2回線の場合,並行2回線同時に雷によって停電することを防止するため,一方の回線の絶縁を低くして,もう一方の停電を防止する不平衡絶縁とすることもあります。
(5)内部異常電圧
雷(外部異常電圧)以外にも,遮断器などを操作した場合に発生するサージ電圧を内部異常電圧と呼びます。
①開閉サージ
遮断器などの開閉時に発生する。
②アーク地絡
1線地絡事故時にアーク電流が点弧と消弧を繰り返す間欠アーク地絡現象で,事故が発生している相以外の健全相にも異常電圧が生じます。
③異常電圧
フェランチ効果,発電機の自己励磁現象など
フェランチ効果は、送電線のこう長が長い場合などにおいて、無負荷時や軽負荷時に、送電端電圧より受電端電圧が高くなる現象です。送電線に接続されている力率改善コンデンサの開放や分路リアクトルを投入するなどの対策があります。