電験三種 電力 基礎力向上テキスト-10
amazon kindle版の「電験三種」に関する本を出版しました。
そちらも見て下さい。
1.10 水力発電での現象,設備
(1)キャビテーション
キャビテーションは水車のランナを腐食させる現象です。ランナと水流間の圧力が低下した際に気泡が発生し,圧力上昇でこの気泡が無くなる際の衝撃でランナを腐食させます。
対策として,
・吸出管の吸出し高さを低くする。
・吸出管へ空気を導入する。
・部分負荷運転を避ける。
・流れに接する水車の面を水流ができるだけ平滑になるような形状とする。
・水車の比速度を大きくしない。
・ランナを耐腐食性の素材にする。
等があります。
(2)吸出し管
吸出し管は反動水車の出口に設けられ,ランナから放水面まで5~7m程度の高さをとり,位置エネルギーとして回収します。これはランナ出口の圧力を低く保つことができるからです。吸出し管が高すぎると,キャビテーションが発生します。
(3)水撃作用
負荷が急に無負荷になってしまった場合,水車の回転速度が急上昇することを防止するため,入口弁を急に閉じることがあります。このとき,水流の速度水頭は圧力水頭に変わり,高い圧力が圧力水管など上流側に伝わっていき,設備の破損などが発生する恐れがあります。このため,この圧力を逃がすため,「サージタンク」を設けます。これ以外の対策として,水管を短くする。水管の断面積を大きくとる。などがあります。
(4)無拘束速度
無負荷の状態で,水車を回転するとある一定の速度まで上昇します。この最大速度を無拘束速度といいます。定格速度の2倍程度の速さになります。