橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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平成29年(2017年) 電験三種 電力 問4

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  問4

 

 原子力発電に用いられる$ M[g]$のウラン$235$を核分裂させたときに発生するエネルギーを考える。ここで想定する原子力発電所では,上記エネルギーの$30 \%$を電力量として取り出すことができるものとし,この電力量をすべて使用して,揚水式発電所で揚水できた水量は$90000 m^3$であった。このときの$ M $の値$ [g]$として,最も近い値を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし,揚水式発電所の揚程は $240m $,揚水時の電動機とポンプの総合効率は$84 \%$とする。また,原子力発電所から揚水式発電所への送電で生じる損失は無視できるものとする。

なお,計算には必要に応じて次の数値を用いること。
 核分裂時のウラン$235$の質量欠損$0.09\%$
 ウランの原子番号$92$
 真空中の光の速度$3.0 \times 10^8 [m/s]$

(1)0.9  (2)3.1  (3)7.3  (4)8.7  (5)10.4

 


 

答え (5)

 

揚水式発電所で必要な動力は

$P=\dfrac{9.8 Q H }{η}$
1時間で,揚水できた水量は$90000m^3$とした場合,水量$Q$は

$Q=\dfrac{90000}{3600}=25 m^3/s$
よって

$P=\dfrac{9.8 \times 25 \times 240}{0.84}=70000 kW$

これが1時間揚水するので,必要電力量は

$70000kWh=252 \times 10^9 [J]$
原子力発電所では,エネルギーの$30\%$を電力量として取り出すことができるので

 $\dfrac{252 \times 10^9}{0.3}=840 \times 10^9 =8.4 \times 10^{11} [J]$

ウラン$235$の$1g$当たりのエネルギーは,$E=mc^2$より

 $1 \times 10^{-3} \times 0.09 \times 10^{-2} \times (3.0 \times 10^8)^2$

$=0.81 \times 10^{11} [J]$

よって、原子力発電に用いられる$ M[g]$は

$M=\dfrac{8.4 \times 10^{11}}{0.81 \times 10^{11}}=10.37 \fallingdotseq 10.4g$