電験三種 理論 基礎力向上テキスト-48
amazon kindle版の「最新令和2年版 電験三種(理論)基礎力向上テキスト」に関する本を出版しました。
そちらも見て下さい。
テブナンの定理-1
テブナンの定理は本当に便利なのか?ということを考えてみましょう。
テブナンの定理を用いると、比較的容易に解ける問題について見てみましょう。
平衡でないブリッジ回路に関する問題です。
次の、回路の$R_5$に流れる電流を求めなさい。
まずは、キルヒホッフの法則を使って、解いてみましょう。
図のように、電流を考えます。
連立方程式を作成します。
$I_1(R_1+R_5+R_3)-I_2 R_5-I_3 R_3=0$
$-I_1 R_5+I_2 (R_5+R_2+R_4)-I_3 R_4=0$
$-I_1 R_3-I_2 R_4+I_3 (R_3 +R_4)=E$
この連立方程式を、$I_1$と$I_2$について解いてみます。
行列を考えると次のようになります。
逆行列を求めると電流は簡単に計算できますが、逆行列を求めることも難しいので、クラメルの法則で電流を求めます。
行列式は次のようになります。
$\Delta=( R_1+ R_3+ R_5)( R_2+ R_4+ R_5)( R_3+ R_4)- R_3 R_4 R_5- R_3 R_4 R_5$
$-( R_1+ R_3+ R_5) R_4^2-( R_3+ R_4) R_5^2-( R_2+ R_4+ R_5) R_3^2$
$=( R_1+ R_3+ R_5)( R_2 R_3+ R_2 R_4+ R_4 R_3+ R_42+ R_3 R_5+ R_4 R_5)-2 R_3 R_4 R_5$
$-( R_1+ R_3+ R_5) R_4^2-( R_3+ R_4) R_5^2-( R_2+ R_4+ R_5) R_3^2$
$=( R_1+ R_3+ R_5) R_2 R_3+( R_1+ R_3+ R_5) R_2 R_4+( R_1+ R_3+ R_5) R_4 R_3$
$+( R_1+ R_3+ R_5) R_4^2+( R_1+ R_3+ R_5) R_3 R_5+( R_1+ R_3+ R_5) R_4 R_5$
$-2 R_3 R_4 R_5 -( R_1+ R_3+ R_5) R_4^2-( R_3+ R_4) R_5^2-( R_2+ R_4+ R_5) R_3^2$
$=( R_1+ R_3+ R_5) R_2 R_3+( R_1+ R_3+ R_5) R_2 R_4+( R_1+ R_3+ R_5) R_4 R_3$
$+( R_1+ R_3+ R_5) R_3 R_5+( R_1+ R_3+ R_5) R_4 R_5$
$-2 R_3 R_4 R_5 -( R_3+ R_4) R_5^2-( R_2+ R_4+ R_5) R_3^2$
$= R_1 R_2 R_3+ R_2 R_3^2+ R_2 R_3 R_5+ R_1 R_2 R_4+ R_2 R_3 R_4+ R_2 R_4 R_5$
$+ R_1 R_3 R_4+ R_4 R_3^2+ R_3 R_4 R_5+ R_1 R_3 R_5+ R_3^2 R_5+ R_3 R_5^2$
$+ R_1 R_4 R_5+ R_3 R_4 R_5+ R_4 R_5^2-2 R_3 R_4 R_5 -( R_3+ R_4) R_5^2-( R_2+ R_4+ R_5) R_3^2$
$= R_1 R_2 R_3+ R_2 R_3 R_5+ R_1 R_2 R_4+ R_2 R_3 R_4+ R_2 R_4 R_5$
$+ R_1 R_3 R_4+ R_1 R_3 R_5+ R_1 R_4 R_5$
$R_5$を軸にしてまとめると
$= R_5( R_2 R_3+ R_2 R_4+ R_1 R_3+ R_1 R_4)+ R_1 R_2( R_3+ R_4)+ R_3 R_4( R_1+ R_2)$
$\Delta= R_5( R_1+ R_2)( R_3+ R_4)+ R_1 R_2( R_3+ R_4)+ R_3 R_4( R_1+ R_2)$
次にクラメルの法則を用いて、それぞれの電流を求めます。
ついでに$I_3$も計算すると
よって、 $R_5$を流れる電流は、電流の向きを上から下向きを正とすると考えると
$I_1-I_2$より