電験三種の電気数学-9
amazon kindle版の「電験三種の電気数学」に関する本を出版しました。
そちらも見て下さい。
数字の基礎、2次方程式の例題です。
次の回路において抵抗$R$で消費される電力が最大となるときの抵抗$R$の値を求めなさい。
電流は$I=\dfrac{V}{R+r}$より、
$R$で消費する電力は
$P=R I^2=R \left( \dfrac{V}{R+r} \right)^2$
この式を変形すると
$= \dfrac{V^2}{\left( \sqrt{R}+\dfrac{r}{\sqrt{R}}\right)^2} $
$= \dfrac{V^2}{\left( \sqrt{R}-\dfrac{r}{\sqrt{R}}\right)^2+4 r} $
分母は下に凸の2次方程式となるので、$ \sqrt{R}-\dfrac{r}{\sqrt{R}}=0$で$R=r$のとき、分母は最小となる。つまり、$R$で消費される電力は最大となる。電力は$P=\dfrac{V^2}{4r}$
これは、供給電力最大の法則とも呼ばれています。図のように$a-a'$と$b-b'$で回路を切り離し、$a'-b'$間のインピーダンスと$a-b$間のインピーダンスが等しいとき、$R$で消費される電力が最大となります。
これは覚えておくとよいでしょう。
また、後ほど学習しますが、微分を用いても計算することができます。
電力$P(R)$を$R$の関数として考え、$R$について微分すると
$P(R)'= \left( \dfrac{R V^2}{(R+r)^2} \right)'$
$=V^2 \left( \dfrac{1}{(R+r)^2}-\dfrac{2 R}{(R+r)^3}\right)$
$=V^2 \dfrac{1}{(R+r)^3}(r+R-2 R)$
$=V^2 \dfrac{r-R}{(R+r)^3}$
極値は$V^2 \dfrac{r-R}{(R+r)^3}=0$のときなので、$r=R$のとき極大値となる。増減表より、$R=r$のとき最大値$P=\dfrac{V^2}{4r}$となる。
$V=1,r=2 \Omega$のときのグラフを描くと、次のようになります。