橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

MENU

令和3年(2021年) 電験三種 機械 問5

amazon kindle版の「電験三種」に関する本を出版しました。

電子書籍版と紙の書籍版での購入も可能です。

そちらも、ご覧になってください。

youtu.be

問5は、同期機に関する問題です。

解いてみましょう。


 

 次の文章は,三相同期電動機に関する記述である。

 三相同期電動機が負荷を担って回転しているとき,回転子磁極の位置と,固定子の三相巻線によって生じる回転磁界の位置との間には,トルクに応じた角度δ[rad]が発生する。この角度δを[ (ア) ]という。

 回転子が円筒形で2極の三相同期電動機の場合,トルクT[N・m]はδが[ (イ) ][rad]のときに最大値になる。さらにδが大きくなると,トルクは減少して電動機は停止する。同期電動機が停止しない最大トルクを[ (ウ) ]という。

 また,同期電動機の負荷が急変すると,δが変化し,新たなδ′に落ち着こうとするが,回転子の慣性のために,δ′を中心として周期的に変動する。これを[ (エ) ]といい,電源の電圧や周波数が変動した場合にも生じる。[ (エ) ]を抑制するには,始動巻線も兼ねる[ (オ) ]を設けたり,はずみ車を取り付けたりする。

 
 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

   (ア)   (イ)   (ウ)   (エ)   (オ) 
(1) 負荷角  $\pi$  脱出トルク  乱調  界磁巻線 
(2) 力率角  $\pi$  制動トルク  同期外れ  界磁巻線 
(3) 負荷角  $\dfrac{ \pi}{2}$ 脱出トルク  乱調  界磁巻線 
(4) 力率角  $\dfrac{ \pi}{2}$ 制動トルク  同期外れ  制動巻線 
(5) 負荷角  $\dfrac{ \pi}{2}$  脱出トルク  乱調 制動巻線 

 



解答(5)   

 

 三相同期電動機が負荷を担って回転しているとき,回転子磁極の位置と,固定子の三相巻線によって生じる回転磁界の位置との間には,トルクに応じた角度δ[rad]が発生する。この角度δを[ (ア) 負荷角]という。

 

 回転子が円筒形で2極の三相同期電動機の場合,トルクT[N・m]はδが[ (イ) $\dfrac{ \pi}{2}$][rad]のときに最大値になる。さらにδが大きくなると,トルクは減少して電動機は停止する。同期電動機が停止しない最大トルクを[ (ウ) 脱出トルク]という。

 

 また,同期電動機の負荷が急変すると,δが変化し,新たなδ′に落ち着こうとするが,回転子の慣性のために,δ′を中心として周期的に変動する。これを[ (エ) 乱調]といい,電源の電圧や周波数が変動した場合にも生じる。[ (エ) 乱調]を抑制するには,始動巻線も兼ねる[ (オ) 制動巻線]を設けたり,はずみ車を取り付けたりする。

 

負荷角が90°のとき同期発電機の出力が最大になります。
 

f:id:hashi-rei-channel:20211114214517p:plain

                    図 出力と負荷角の関係

・乱調
 負荷が急変した場合など、回転機の慣性力などのため一定の回転数にはならず、回転数がふらつきます。この回転数のふらつきを乱調とよびます。乱調が大きくなると、同期が外れてしまい(同期外れ、脱調)、回転は停止してしまいます。乱調を抑制するには次の方法があります。
・はずみ車効果(慣性力)を大きくする。
・自動電圧調整装置の速応化
・制動巻線(ダンパ巻線)を設ける。
・発電機の場合、同期化力を大きくする。
などの対策があります。