電験三種 理論 基礎力向上テキスト-41
amazon kindle版の「最新令和2年版 電験三種(理論)基礎力向上テキスト」に関する本を出版しました。
そちらも見て下さい。
第6編 磁界
10. 磁化曲線とヒステリシスループ
図2-10に透磁率と$B-H$曲線を示します。透磁率は磁界の強さ$H$が大きくなるに従って大きくなり,最大透磁率に達します。その後磁界の強さ$H$が大きくなるに従って小さくなり,$H$が無限大に近づくと,真空の透磁率$\mu_0$に近づいていきます。
磁束密度$B$は,磁界の強さ$H$を大きくすると大きくなりますが,さらに磁界の強さを大きくしていくと磁気飽和してあまり増加しなくなります。
図2-11に磁界の強さ$H$を$\pm H_m$に交互に変化させた場合の磁化曲線を示します。この磁化曲線はヒステリシスループを描きます。
ヒステリシスループの$B_r$は残留磁気,$H_c$は保持力と呼ばれます。ヒステリシスループは熱損失となって現れ,これをヒステリシス損と呼びます。このヒステリシス損は変圧器や発電機などで熱となる損失なので,ケイ素鋼板のようなヒステリシスループの面積の小さい材料が選ばれます。
残留磁気の小さな材料は電磁石に用いられ,保持力の大きな材料は永久磁石に用いられます。