橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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平成28年(2016年) 電験三種 電力 問8

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そちらも見て下さい。

  



 


 次の文章は,誘導障害に関する記述である。

 架空送電線路と通信線路とが長距離にわたって接近交差していると,通信線路に対して電圧が誘導され,通信設備やその取扱者に危害を及ぼすなどの障害が生じる場合がある。この障害を誘導障害といい,次の2種類がある。

① 架空送電線路の電圧によって,架空送電線路と通信線路間の[ (ア) ]を介して通信線路に誘導電圧を発生させる[ (イ) ]障害。

② 架空送電線路の電流によって,架空送電線路と通信線路間の[ (ウ) ]を介して通信線路に誘導電圧を発生させる[ (エ) ]障害。

 架空送電線路が十分にねん架されていれば,通常は,架空送電線路の電圧や電流によって通信線路に現れる誘導電圧はほぼ$0{\rm V}$となるが,架空送電線路で地絡事故が発生すると,電圧及び電流は不平衡になり,通信線路に誘導電圧が生じ,誘導障害が生じる場合がある。例えば,一線地絡事故に伴う[ (エ) ] 障害の場合,電源周波数を$f$,地絡電流の大きさを$I$,単位長さ当たりの架空送電線路と通信線路間の[ (ウ) ] を$M$,架空送電線路と通信線路との並行区間長を$L$としたときに,通信線路に生じる誘導電圧の大きさは[ (オ) ] で与えられる。誘導障害対策に当たっては,この誘導電圧の大きさを考慮して検討の要否を考える必要がある。

 上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,
正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

(ア)

(イ)

(ウ)

(エ)

(オ)

(1) キャパシタンス 静電誘導 相互インダクタンス 電磁誘導 $2\pi fMLI$
(2) キャパシタンス 静電誘導 相互インダクタンス 電磁誘導 $\pi fMLI$
(3) キャパシタンス 電磁誘導 相互インダクタンス 静電誘導 $\pi fMLI$
(4) 相互インダクタンス 電磁誘導 キャパシタンス 静電誘導 $2\pi fMLI$
(5) 相互インダクタンス 静電誘導 キャパシタンス 電磁誘導 $2\pi fMLI$

 


解答 (1)  

 架空送電線路と通信線路とが長距離にわたって接近交差していると,通信線路に対して電圧が誘導され,通信設備やその取扱者に危害を及ぼすなどの障害が生じる場合がある。この障害を誘導障害といい,次の2種類がある。

① 架空送電線路の電圧によって,架空送電線路と通信線路間の[ キャパシタンス ]を介して通信線路に誘導電圧を発生させる[ 静電誘導 ]障害。

② 架空送電線路の電流によって,架空送電線路と通信線路間の[ 相互インダクタンス ]を介して通信線路に誘導電圧を発生させる[ 電磁誘導 ]障害。

 架空送電線路が十分にねん架されていれば,通常は,架空送電線路の電圧や電流によって通信線路に現れる誘導電圧はほぼ$0{\rm V}$となるが,架空送電線路で地絡事故が発生すると,電圧及び電流は不平衡になり,通信線路に誘導電圧が生じ,誘導障害が生じる場合がある。例えば,一線地絡事故に伴う[ 電磁誘導 ] 障害の場合,電源周波数を$f$,地絡電流の大きさを$I$,単位長さ当たりの架空送電線路と通信線路間の[ 相互インダクタンス ] を$M$,架空送電線路と通信線路との並行区間長を$L$としたときに,通信線路に生じる誘導電圧の大きさは[ $2\pi fMLI$ ] で与えられる。誘導障害対策に当たっては,この誘導電圧の大きさを考慮して検討の要否を考える必要がある。