令和2年(2020年) 電験三種 法規 問11
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問11
電気工作物に起因する供給支障事故について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a)次の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
① 電気事業法第39条(事業用電気工作物の維持)において,事業用電気工作物の損壊により[ (ア) ]者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすることが規定されている。
②「電気関係報告規則」において,[ (イ) ]を設置する者は,[ (ア) ]の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧[ (ウ) ]V以上の[ (イ) ]の破損又は[ (イ) ]の誤操作若しくは[ (イ) ]を操作しないことにより[ (ア) ]者に供給支障を発生させた場合,電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に事故報告をしなければならないことが規定されている。
③ 図1に示す高圧配電系統により高圧需要家が受電している。事故点1,事故点2又は事故点3のいずれかで短絡等により高圧配電系統に供給支障が発した場合,②の報告対象となるのは[ (エ) ]である。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
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(1) | 一般送配電事業 | 自家用電気工作物 | 6000 | 事故点1又は事故点2 |
(2) | 送電事業 | 事業用電気工作物 | 3000 | 事故点1又は事故点3 |
(3) | 一般送配電事業 | 事業用電気工作物 | 6000 | 事故点2又は事故点3 |
(4) | 送電事業 | 事業用電気工作物 | 6000 | 事故点1又は事故点2 |
(5) | 一般送配電事業 | 自家用電気工作物 | 3000 | 事故点2又は事故点3 |
(b)次の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
① 受電設備を含む配電系統において,過負荷又は短絡あるいは地絡が生じたとき,供給支障の拡大を防ぐため,事故点直近上位の遮断器のみが動作し,他の遮断器は動作しないとき,これらの遮断器の間では[ (ア) ]がとられているという。
② 図2は,図1の高圧需要家の事故点2又は事故点3で短絡が発生した場合の過電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。[ (ア) ]がとられている場合,遮断器Bの継電器動作特性曲線は,[ (イ) ]である。
③ 図3は,図1の高圧需要家の事故点2で地絡が発生した場合の零相電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。[ (ア) ]がとられている場合,遮断器Bの継電器動作特性曲線は,[ (ウ) ]である。また,地絡の発生箇所が零相変流器より負荷側か電源側かを判別するため[ (エ) ]の使用が推奨されている。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
---|---|---|---|---|
(1) | 同期協調 | 曲線2 | 曲線3 | 地絡距離継電器 |
(2) | 同期協調 | 曲線1 | 曲線3 | 地絡方向継電器 |
(3) | 保護協調 | 曲線1 | 曲線4 | 地絡距離継電器 |
(4) | 保護協調 | 曲線2 | 曲線4 | 地絡方向継電器 |
(5) | 保護協調 | 曲線2 | 曲線3 | 地絡距離継電器 |
答え (a):(5),(b):(4)
(a)
① 電気事業法第39条(事業用電気工作物の維持)において,事業用電気工作物の損壊により[ 一般送配電事業 ]者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすることが規定されている。
②「電気関係報告規則」において,[ 自家用電気工作物 ]を設置する者は,[ 一般送配電事業 ]の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧[ 3000 ]V以上の[ 自家用電気工作物 ]の破損又は[ 自家用電気工作物 ]の誤操作若しくは[ 自家用電気工作物 ]を操作しないことにより[ 一般送配電事業 ]者に供給支障を発生させた場合,電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に事故報告をしなければならないことが規定されている。
③ 図1に示す高圧配電系統により高圧需要家が受電している。事故点1,事故点2又は事故点3のいずれかで短絡等により高圧配電系統に供給支障が発した場合,②の報告対象となるのは[ 事故点2又は事故点3 ]である。①電気事業法 第39条より、
事業用電気工作物が一般送配電事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。②電気関係報告規則 第3条より、
一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧3000V以上の自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障の事故を発生させた場合、電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない
③保安上の責任分界点内の事故、事故点2又は事故点3を報告する必要がある。
(b)
① 受電設備を含む配電系統において,過負荷又は短絡あるいは地絡が生じたとき,供給支障の拡大を防ぐため,事故点直近上位の遮断器のみが動作し,他の遮断器は動作しないとき,これらの遮断器の間では[ 保護協調 ]がとられているという。
② 図2は,図1の高圧需要家の事故点2又は事故点3で短絡が発生した場合の過電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。[保護協調 ]がとられている場合,遮断器Bの継電器動作特性曲線は,[ 曲線2 ]である。
③ 図3は,図1の高圧需要家の事故点2で地絡が発生した場合の零相電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。[ 保護協調 ]がとられている場合,遮断器Bの継電器動作特性曲線は,[ 曲線4 ]である。また,地絡の発生箇所が零相変流器より負荷側か電源側かを判別するため[ 地絡方向継電器 ]の使用が推奨されている。①保護協調は、事故が発生した場合、事故点だけが遮断されて、他の健全な系統への電力の供給を継続でき、事故が他の系統に波及しないように、遮断機器の動作曲線などを調整することです。
②③の保護協調は図2、図3ともに、遮断器Aが電源側、遮断器Bが負荷側にあるので、事故点2,3の場合、負荷側の遮断器Bが先に動作するように、曲線2、曲線4となります。また、地絡の発生箇所が零相変流器より負荷側か電源側かを判別する継電器は、地絡方向継電器となります。