令和3年(2021年) 電験三種 電力 問10
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問10は、がいしの塩害の問題です。
解いてみましょう。
次の文章は,がいしの塩害とその対策に関する記述である。
風雨などによってがいし表面に塩分が付着すると,[ (ア) ]が発生することがあり,可聴雑音や電波障害,フラッシオーバの原因となる。これをがいしの塩害という。がいしの塩害対策は,塩害の少ない送電ルートの選定,がいしの絶縁強化,がいしの洗浄,がいし表面への[ (イ) ]性物質の塗布が挙げられる。
懸垂がいしにおいて,絶縁強化を図るには,がいしを[ (ウ) ]に連結する個数を増やす方法や,がいしの表面漏れ距離を[ (エ) ]する方法が用いられる。また,懸垂がいしと異なり,棒状磁器の両端に連結用金具を取り付けた形状の[ (オ) ]がいしは,雨洗効果が高く,塩害に対し絶縁性が高い。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) | |
---|---|---|---|---|---|
(1) | 漏れ電流 | はっ水 | 直列 | 長く | 長幹 |
(2) | 過電圧 | 吸湿 | 直列 | 短く | ピン |
(3) | 漏れ電流 | 吸湿 | 並列 | 短く | 長幹 |
(4) | 過電圧 | はっ水 | 並列 | 長く | 長幹 |
(5) | 漏れ電流 | はっ水 | 直列 | 短く | ピン |
解答(1)
風雨などによってがいし表面に塩分が付着すると,[ (ア) 漏れ電流]が発生することがあり,可聴雑音や電波障害,フラッシオーバの原因となる。これをがいしの塩害という。がいしの塩害対策は,塩害の少ない送電ルートの選定,がいしの絶縁強化,がいしの洗浄,がいし表面への[ (イ)はっ水 ]性物質の塗布が挙げられる。
懸垂がいしにおいて,絶縁強化を図るには,がいしを[ (ウ) 直列]に連結する個数を増やす方法や,がいしの表面漏れ距離を[ (エ) 長く]する方法が用いられる。また,懸垂がいしと異なり,棒状磁器の両端に連結用金具を取り付けた形状の[ (オ) 長幹]がいしは,雨洗効果が高く,塩害に対し絶縁性が高い。
がいしは,懸垂がいし,長幹がいしなどがあるが,送電線でよく見かけるのが,傘のような形をした懸垂がいしである。
懸垂がいしは公称電圧と沿岸部や山間部などの場所によって,数個から数十個の個数が決まっている。
図にポールソケット形の懸垂がいしを示します。使用電圧や海岸からの距離に応じて適切な個数を連結することができ、必要な絶縁が得られるので、もっとも良く使用されているがいしです。懸垂がいしには、クレビス形もあります。直径が250mm、320mmなど使用する電圧によって大きさが変わってきます。
電気設備の技術基準の解釈第15条より、この試験電圧に耐える絶縁性能を有しなければならないので、次の表に標準の懸垂がいし個数の例を示します。
長幹がいしは磁器体に多数のひだが付いており、使用電圧によって長さが分かってきます。多数のひだを持つことによって、塩害に対して強い性質を持っています。