基礎から学ぶ制御工学-3
基礎から学ぶ制御工学
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1.2フィードバック制御
マニュアルエアコンと、オートエアコンについて考えてみましょう。簡単化のために、風量は考えずに室内温度で考えてみます。
図1.2のマニュアルエアコンに示すように、快適な温度というあいまいな温度を、基準にして、人は、エアコンに対して、温度調整のメモリを切り替えます。エアコンはこのメモリに応じた、温度の風を送風します。人はこのエアコンからの温度を感じ、暑いか寒いかを判定します。この暑い、寒いの判定度合いによって、エアコンのメモリを調整します。これを繰り返すことによって、徐々に快適な温度に近づくことになります。これが、手動制御になります。
次に、図1.3に示すように、オートエアコンについて考えてみましょう。人が目標となる温度、例えば25℃を設定します。このとき、出力である車内温度をセンサーで測定します。車内温度は、設定温度25℃と比較されて、温度が高ければ、コントローラーから冷房を指示し、温度が低ければ、暖房をエアコンに対して指示し、車内温度を、設定値に近づけるように調整していきます。
このように、通常の制御では、出力と目標値を比較して、この値の差を、小さくするようなフィードバック制御を行います。このような制御を閉ループ制御と呼びます。また、図1.1のように、フィードバックしない制御を開ループ制御と呼びます。開ループ制御は、シーケンス制御のように、時間や仕事をあらかじめ決められた手順で進めていくような制御方法です。
図に示すような、エアコン(を含む車内の環境)と、コントローラー、温度センサーなどのそれぞれの四角の箇所を、要素と呼び、これらを、まとめたものを、システムと呼びます。これらのシステムのそれぞれの要素が数式で表され、入出力の関係が
y=f(u)
y:出力、u:入力
で表すことができるように、システムを数式化することをモデリングと呼びます。