橋平礼の電験三種合格講座

過去50年分以上の電験三種の問題を解いて分かった、電験三種は今も昔も変わりません。過去問を解きながら合格を目指しましょう。

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令和4年(2022年) 上期 電験三種 理論 問18

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問18は、トランジスタのバイアス回路に関する基本的な問題です。この問題も基本中の基本の問題ですので、解けるようにしておきましょう。

解いてみましょう。


 

 図1,図2及び図3は,トランジスタ増幅器のバイアス回路を示す。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
 ただし,$V_{cc}$は電源電圧,$V_B$はベース電圧,$I_B$はベース電流,$I_C$はコレクタ電流,$I_E$はエミッタ電流,$R$,$R_B$,$R_C$及び$R_E$は抵抗を示す。

(a)次の①式,②式及び③式は,図1,図2及び図3のいずれかの回路のベース・エミッタ間の電圧$V_{BE}$を示す。
$V_{BE}=V_B-I_E \cdot R_E$            ・・・・・①
$V_{BE}=V_{cc}-I_B  \cdot R$         ・・・・・②
$V_{BE}=V_{cc}-I_B  \cdot R-I_E  \cdot  R_C$    ・・・・・③


 上記の式と図の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

   ①式   ②式   ③式 
(3) 図3  図1  図2 
(2) 図2 図3  図1
(3) 図3  図1  図2
(4) 図1  図3  図2 
(5) 図3  図2  図1 

 


(b)次の文章$a$,$b$及び$c$は,それぞれのバイアス回路における周囲温度の変化と電流$I_C$との関係について述べたものである。
 ただし,$h_{FE}$は直流電流増幅率を表す。

$a$ 温度上昇により$h_{FE}$が増加すると$I_C$が増加し,バイアス安定度が悪いバイアス回路の図は[(ア)]である。

$b$ $h_{FE}$の変化によりICが増加しようとすると,$V_B$はほぼ一定であるから$V_{BE}$が減少するので,$I_C$や$I_E$の増加を妨げるように働く。$I_C$の変化の割合が比較的低く,バイアス安定度が良いものの,電力損失が大きいバイアス回路の図は[(イ)]である。

$c$ $h_{FE}$の変化により$I_C$が増加しようとすると,$R_C$の電圧降下も増加することでコレクタ・エミッタ間の電圧$V_{CE}$が低下する。これにより$R$の電圧が減少して$I_B$が減少するので,$I_C$の増加が抑えられるバイアス回路の図は[(ウ)]である。

 上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)   (イ)   (ウ) 
(1) 図1  図2  図3 
(2) 図2  図3  図1
(3) 図3  図1 図2
(4) 図1  図3  図2 
(5) 図2  図1  図3 

 

 


解答 (a):(3),(b):(4)  

 

(a)

図1の赤枠の部分から
$V_{cc}=I_B  \cdot R+V_{BE}$となるので、
よって、
$V_{BE}=V_{cc}-I_B  \cdot R$         ・・・・・②

図2の赤枠の部分から
$V_{cc}=V_{BE}+I_B  \cdot R +I_E \cdot R_C$
よって、
$V_{BE}=V_{cc}-I_B  \cdot R-I_E  \cdot  R_C$    ・・・・・③

図3の赤枠の部分から
$V_B=I_E  \cdot R_E+V_{BE}$
よって、
$V_{BE}=V_B-I_E \cdot R_E$            ・・・・・①
答えは

 

   ①式   ②式   ③式 
(3) 図3  図1  図2

 

(b)

$a$ 温度上昇により$h_{FE}$が増加すると$I_C$が増加し,バイアス安定度が悪いバイアス回路の図は[(ア)図1]である。
・・・固定バイアス回路

$b$ $h_{FE}$の変化により$I_C$が増加しようとすると,$V_B$はほぼ一定であるから$V_{BE}$が減少するので,$I_C$や$I_E$の増加を妨げるように働く。$I_C$の変化の割合が比較的低く,バイアス安定度が良いものの,電力損失が大きいバイアス回路の図は[(イ)図3 ]である。
・・・電流帰還バイアス回路

 

$c$ $h_{FE}$の変化により$I_C$が増加しようとすると,$R_C$の電圧降下も増加することでコレクタ・エミッタ間の電圧$V_{CE}$が低下する。これにより$R$の電圧が減少して$I_B$が減少するので,$I_C$の増加が抑えられるバイアス回路の図は[(ウ)図2]である。
・・・自己バイアス回路

 

   (ア)   (イ)   (ウ) 
(4) 図1  図3  図2