令和4年(2022年) 上期 電験三種 理論 問18
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問18は、トランジスタのバイアス回路に関する基本的な問題です。この問題も基本中の基本の問題ですので、解けるようにしておきましょう。
解いてみましょう。
図1,図2及び図3は,トランジスタ増幅器のバイアス回路を示す。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,$V_{cc}$は電源電圧,$V_B$はベース電圧,$I_B$はベース電流,$I_C$はコレクタ電流,$I_E$はエミッタ電流,$R$,$R_B$,$R_C$及び$R_E$は抵抗を示す。
(a)次の①式,②式及び③式は,図1,図2及び図3のいずれかの回路のベース・エミッタ間の電圧$V_{BE}$を示す。
$V_{BE}=V_B-I_E \cdot R_E$ ・・・・・①
$V_{BE}=V_{cc}-I_B \cdot R$ ・・・・・②
$V_{BE}=V_{cc}-I_B \cdot R-I_E \cdot R_C$ ・・・・・③
上記の式と図の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
①式 | ②式 | ③式 | |
---|---|---|---|
(3) | 図3 | 図1 | 図2 |
(2) | 図2 | 図3 | 図1 |
(3) | 図3 | 図1 | 図2 |
(4) | 図1 | 図3 | 図2 |
(5) | 図3 | 図2 | 図1 |
(b)次の文章$a$,$b$及び$c$は,それぞれのバイアス回路における周囲温度の変化と電流$I_C$との関係について述べたものである。
ただし,$h_{FE}$は直流電流増幅率を表す。
$a$ 温度上昇により$h_{FE}$が増加すると$I_C$が増加し,バイアス安定度が悪いバイアス回路の図は[(ア)]である。
$b$ $h_{FE}$の変化によりICが増加しようとすると,$V_B$はほぼ一定であるから$V_{BE}$が減少するので,$I_C$や$I_E$の増加を妨げるように働く。$I_C$の変化の割合が比較的低く,バイアス安定度が良いものの,電力損失が大きいバイアス回路の図は[(イ)]である。
$c$ $h_{FE}$の変化により$I_C$が増加しようとすると,$R_C$の電圧降下も増加することでコレクタ・エミッタ間の電圧$V_{CE}$が低下する。これにより$R$の電圧が減少して$I_B$が減少するので,$I_C$の増加が抑えられるバイアス回路の図は[(ウ)]である。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
---|---|---|---|
(1) | 図1 | 図2 | 図3 |
(2) | 図2 | 図3 | 図1 |
(3) | 図3 | 図1 | 図2 |
(4) | 図1 | 図3 | 図2 |
(5) | 図2 | 図1 | 図3 |
解答 (a):(3),(b):(4)
(a)
図1の赤枠の部分から
$V_{cc}=I_B \cdot R+V_{BE}$となるので、
よって、
$V_{BE}=V_{cc}-I_B \cdot R$ ・・・・・②
図2の赤枠の部分から
$V_{cc}=V_{BE}+I_B \cdot R +I_E \cdot R_C$
よって、
$V_{BE}=V_{cc}-I_B \cdot R-I_E \cdot R_C$ ・・・・・③
図3の赤枠の部分から
$V_B=I_E \cdot R_E+V_{BE}$
よって、
$V_{BE}=V_B-I_E \cdot R_E$ ・・・・・①
答えは
①式 | ②式 | ③式 | |
---|---|---|---|
(3) | 図3 | 図1 | 図2 |
(b)
$a$ 温度上昇により$h_{FE}$が増加すると$I_C$が増加し,バイアス安定度が悪いバイアス回路の図は[(ア)図1]である。
・・・固定バイアス回路
$b$ $h_{FE}$の変化により$I_C$が増加しようとすると,$V_B$はほぼ一定であるから$V_{BE}$が減少するので,$I_C$や$I_E$の増加を妨げるように働く。$I_C$の変化の割合が比較的低く,バイアス安定度が良いものの,電力損失が大きいバイアス回路の図は[(イ)図3 ]である。
・・・電流帰還バイアス回路
$c$ $h_{FE}$の変化により$I_C$が増加しようとすると,$R_C$の電圧降下も増加することでコレクタ・エミッタ間の電圧$V_{CE}$が低下する。これにより$R$の電圧が減少して$I_B$が減少するので,$I_C$の増加が抑えられるバイアス回路の図は[(ウ)図2]である。
・・・自己バイアス回路
(ア) | (イ) | (ウ) | |
---|---|---|---|
(4) | 図1 | 図3 | 図2 |